霧に煙るは颪か灰か
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!」
「いや……流石に、それは「ふざけるな!!」。」
桁を一つ何処かに落としてこなかったかと動転しつつあった声が、幸運にも?点火された役立たず炸薬ジョンストンに封をされた。
「二十騎もの竜騎士が、わずか二騎を相手取って全滅だと!? 冗談は休み休み言え!!」
あまりの剣幕にたじろいだ伝令に、ボーウッドは先を促す。
「それで、その敵とやらはどん「ワルドはどうした! 竜騎士隊を預けたワルドは!
あのトリステイン人はいったい何をやっておるのか!」……サー、少し落ち着いてください」
「サー。サー・ワルドの風竜が撃墜されたとの報告はありません。
ですが、艦隊守備隊にも、今朝方のラ・ロシェール攻略から戻ってきた地上部隊にも、今日になってからはその姿を見かけた者はないようです」
伝令は逃げ出しそうになる身を地を踏みしめることで堪えさせ、耳に届いた問いに答えた。
ふむ、とボーウッドはラ・ロシェールの方を見やる。
幾度攻撃を続けようと、晴れる様子のない朝霧の壁。
確か彼は向こうの指揮に出向いていたはずだが……戻ってきていないというこ
「裏切り追ったな! それとも臆したか!
どうにも信用ならぬと「そのように兵たちの前で取り乱しては、士気に関わりますぞ」」
あらぬ邪推で思考の邪魔をしてくるジョンストンを窘たしなめるボーウッド。
だがこの昂し切った素人ジョンストンはその程度で止まるはずもなく、そのまま怒りの矛先を制止の主へと向ける。
「何を言うか! だいたい、元はといえば貴様のせいだぞ艦長!
貴様の消極的な指揮が、竜騎士隊の全滅を招いたのだ!
このことはクロムウェル陛下に報告する! 報告するぞ!」
ボーウッドは、とても鮮明な切断音を耳元ですらない身近などこかで耳にした。
叫びながら攫みかかってこようとしていたジョンストンのたるみ気味の腹部へ、カウンター気味に杖のフルスイングを叩き込む。
腕から伝わる素晴らしい快ジャストミート感が全身を覆い、見下ろす視界に腹を抱えてぴくぴく痙攣するものを瞬きして逡巡。
はたと自分が何をしたかに気付いて……善よし、と大きく頷いた。
「……よく考えずとも、昨夜の内からこうしておけばよかったな」
惜しいことをした。
『元はといえば』、昨日の奇襲の後、降下した兵の陣をしっかり固めさせろ、などと一見まともそうで奇襲としては素敵にイカレたジョンストンの提案にうっかり乗ってしまったのが良くなかった。
あそこで一気にラ・ロシェールを攻め落としておけば、今ほど面倒な事態にはならずと済んだだろうに。
ああ、これは間違いなく自分のミスだ。
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