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fate/vacant zero
雲影二つ
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く、始祖の王杖の一本だ。

 親和性は高いかもしれないが……当代の王は「無能王」としての通名が国内外問わず広く伝え聞こえている。

 姫様を託すには、あまりにも不安に過ぎるような……。保留。



 ならば、ヒスパニアへ?


 ――歴史を振り返る限り、王族を保護するような連中ではないような気がする。却下。



 ロマリアならどうだろう。


 ――姫さまの美貌からすると、それこそ死にたくなるほど大量の求婚者が現れそうだけど……安全といえば安全かもしれない。

 それで命生き長らえられるなら、安いもの……でもないか? 保留。



 エトルリア連邦。


 ――金を積まれたら確実に売り渡しそう。却下。



 そうして、ロマリア、ガリア、ゲルマニアが候補に残った所まで思考して、ふと不安がよぎる。

 はたして、姫様は逃げることを選ばれるだろうか?


 枢機卿やその他の貴族たちが姫さまを担ぎ上げているのだとしたら、何の躊躇いもなく姫さまを拐かどわかせるだろう。

 だが、姫さま自身がそれを望んでそこにいるのだとしたら?


 ……思い浮かべた別れ際の姫さまの御顔が、亡きウェールズ皇太子の決意の面持ちと一瞬被る。


 そうだとしたら……姫さまを、あの猛烈に負けず嫌いの姫さまを引き下がらせるのはあまりにも限りなく困難極まりない。

 いや、そもそも――



『使い魔は、魔法使いメイジにとっての相棒パートナーよ。
 こんなこと、あなた自身が一番よくわかってたんじゃなくて?』



 ――もう、考えるのはよそう。

 こんな重大事、兵才も爵位も持ってない一介の貴族こむすめが手を出すなんて、幾らなんでも不相応に過ぎるというものだろう。

 私たちにできるのは、ただ祈ることだけなのだ。


 ……虚むなしくなってしまった。


 とにかく、ここでずっとこうして扉にへばりついていてもしょうがない。

 もう行こう。姫さまが、必ず勝利してくれると信じて――



「……ほら、アンタもいつまでも張り付いてないでと……………………っとっと?」



忽然。



 あるいは強調線の間に『だれもいません』の文句でもいいが。

 ルイズの隣にはそれがあった。


 ……いや、ないのか?



 とにかく、ほんの少しの間だけルイズが目を瞑っていた間に、隣に居たはずの才人の姿は無くなっていた。



「……え? あれ?」


 左右を見回しても誰もおらず、背後からは床を蹴る靴の音。


 また勝手に――! と。

 苛立ちもあらわにしたルイズが、後を追おうと外周の方を振り向く
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