心名残り
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の旗手が、やや人形的ながらもその内容を読み上げる。
【ЛL эe ξx иi нn гg тt а уo нn 号 より トリステイン 艦隊 旗艦 へ
ХH оo бb аa рr тt 号 砲撃 せし 貴 艦 意図 説明 せよ】
「砲、撃だと? ……そんなバカな」
ラ・ラメーが唖然として呟く。
フェヴィスもまた、言葉には出来なかったが同意見を心中に溢していた。
なぜなら、ホバートと呼ばれるあの艦は、艦隊最長射程を誇るこのメルカトール号の射程圏より外に浮かんでいるのだ。
加えて、高低はあちらの方が50メイルばかり高い。
たとえ先の礼砲に実弾が万が一篭められていたとしても、その弾はホバート号とやらの遥か手前で失速して大地したに落ちているだろう。
――では、なぜあの艦は砕けたのか?
「返信しろ! 【我 艦隊 砲撃 答砲 実弾 非ず】!」
帆に怒号を飛ばすラ・ラメーを横目に、フェヴィスは考えを巡らしていた。
先ほど見かけた小さな凧ボート。
届くはずのない砲弾。
内から弾けるようにして吹き飛んだホバート号。
これらが意味するものは、何なのか。
それは――
「答信来ます!
【先刻 砲撃 空砲 非ず 我 艦隊 貴 艦隊 砲撃 へ 応戦 せんとす】!」
「馬鹿な! ふざけたことを!」
ラ・ラメーの叫びと同時、アルビオン艦隊の全ての砲が一斉射された。
――予め計画されていた、作戦行動。
確証は無い。
無いが。
「この距離で、大砲が届くのか…!」
たった今、メルカトール号のマストを打ち折り、側面に大きく孔を開けた、アルビオン艦隊の砲弾。
そう、この距離は我々トリステイン艦隊の"射程圏外"であり、かつアルビオン艦隊の"射程圏内"なのだ。
その事実が、普段のフェヴィスならば言いがかりにしかならないと決定付けるだろう思考の結果を、この時、この相手、この状況に限って、確証あるホンモノへと変化せしめた。
「提督、我らはアルビオンに嵌められたようです!
艦隊に反撃の指示を!」
「馬鹿を申すな艦長!
アルビオンとは、不可侵条約を結んでおるのだぞ!?」
「条約など、向こうから放棄したも同然ではありませんか!
先ほどの艦が吹き飛ぶ前に、脱出するボートをこの目で見ました!
これは、間違いなく明確な軍事作戦です!」
この瞬間、ラ・ラメーは迷っていた。
彼はこの今の今までの一連の流れを、自艦隊が誤射した礼砲の起こし
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