灯蛇
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わってんだねぇ」
才人からすれば魔法なんぞ使えるこの世界の方が変わっているのだが、その辺りを突っ込むとキリがないので何も言わずに電源を落とした。
そうして一通りの点検を終えて操縦席から外に出ると、野次馬に来ていた生徒たちが興味を失くして去っていくのと入れ替わるように、キュルケとギーシュが訪れた。
キュルケは手桶と雑巾を持ち、ギーシュはモップを肩に担いでいる。
サボリの罰掃除でも始まるんだろうか?
いや、それにしては――
「タバサは一緒じゃないのか?」
「彼女なら、学院長から何か手紙のようなものを受け取ったと思ったら、触れたら凍らされそうな剣幕でどこかに行ってしまったよ」
というか出会い頭にまずそれかね、とぼやくギーシュの声はスルーしてさらに尋ねる。
「手紙? どこかって、どこにだよ?」
「そんなの、ぼくに聞かれても困る。
キュルケ、きみはあの手紙が何処からのものかわかるかい?」
話を振られたキュルケは両手を天に回して、残念そうな溜め息をつく。
「あたしが知ってるのは、ああやってあの子に手紙が来たら数日は学院から居なくなる、ってことくらいね。
機会があったら、後をつけてみたいけど」
そう言われてみてふと思い当たったのは、いつぞやの平日、シルフィードに乗って何処かへ出かけるタバサの姿。
ひょっとして、実家から呼び出しを受けたとか?
そうだとしたら、俺なんかのために心底申し訳ないことになっちまったわけで。
うん、帰ってきたらまず謝ろう。それがいい。
こくこくと誰にともなく頷いていると、がっしと襟首を掴まれて息が詰まった。
多少えづきながら後ろを見れば、にんまりと微笑んでいる二人の姿が。
いきなりなんだよ、首が絞まる首が。
「そんなことより、ちょっと手伝いたまえ。
ミス・タバサが抜けてしまったお陰で、さっぱり手が足りないんだよ」
「ごめんねサイト。
でも、流石に二人であのホールの窓を全部磨くのって無理があるの。
お願いね?」
お願いね、と口では丁寧ていねいに言っているものの、二人の目に宿る光はどうみても脅迫じみていた。
俺は当のホールの大きさを思い出してげんなりしつつも、二人が引きずるままにされることにした。
実入りこそ殆ど無かったものの、宝探しも悪くは無かったのだ。
礼と感謝の代わりに、罰掃除の手伝いくらいしてもいいだろ、なんて。
俺は、何の違和感もなく思っていた。
ちなみにその頃のルイズはというと。
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