灯蛇
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あとは結果を待つばかり、というわけだ。餅は餅屋とも言うかもしれない。
そういうわけで研究室を辞した才人は現在、アウストリの広場の一角に安置されたF-15イーグルの操縦席に座し、目を閉じて各部の点検を行っていた。
どこぞに不備でもあって、実際に飛ばしたところで異常をきたされては堪たまったものではない。
目を閉じているのは、好奇心を如何なく消費しながら発動中である左手のルーンガンダールヴに集中するためである。
操縦桿そうじゅうかんを握ったり、スイッチレバーや計器盤に触れたりする度にルーンは起動し、それを使うことでもたらされる結果を、視覚と触覚を混ぜて3ぐらいで割ったような感覚で伝えてくるのだ。
その機能がちゃんと作用しているかどうかの直感的確認も可能というオマケつきで。
操縦桿そうじゅうかんを握りしめれば、それを左右に倒すことで主翼を可動し『進行方向を軸にした回転バレルロール』が、前後に倒すことで尾翼を可動し『機首を上げ下げトリム』させることがそれぞれ可能であることが。
左右の足が捉える鐙フットバーからは、垂直尾翼の舵かじを取って『左右に旋回ターン』させるためのものであることを。
操縦桿そうじゅうかんの裏側で指に触れている、縦に並んだ三つのトリガーが、セーフティは勿論電源すら入っていない現状では沈黙を保っているものの、それぞれが機首と両主翼に据えられた機銃バルカンの引き金トリガーであることも理解した。
風防キャノピーと座席シートをのぞいた一面を覆う計器とレバーとツマミに一つ一つ触れ、その正体と生存を確認していく。
中にはラジオだの戦術電子戦管制TEWSだの外部との通信だの、ハルケギニアでは使い道が微塵もなさそうなものもちらほらとあったが、それらも含めて概おおむね正常に動いてくれるようだった。
印ガンダールヴは、その全てを実体験にも似た感覚として教えてくれている。
シエスタの祖母から預かったメインキーを鍵穴に挿し込み軽く捻ひねると、目に映る全ての計器が一斉に目を覚ました。
どうやら組み込まれた発電機も、まだまだしぶとく生きていたようだ。
正常な動作を確認し、それが積み重なっていくたび、にやけた笑みが才人の表情を少しずつ侵食していく。
才人の未知への好奇心が、段々と歓喜の嬌声きょうせいを上げつつあった。
「相棒、これは飛ぶんかね?」
腿の上から足元に差し込むように置いたデルフリンガーが尋ねてくる。
「飛ぶぞ。油さえあったら」
へぇ、とデルフは感心と呆あきれを足したような溜め息をつく。
「これが飛ぶたぁ、相棒の元いた世界とやらはホント変
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