灯蛇
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ド・オスマンやタバサもそうだったけれど、ひょっとしてルイズみたいに信じてくれない方が特殊なのか?と疑ってしまう。
「そりゃあ、驚いたとも。
驚いたが、すとんと腑に落ちてきたんだよ。
どこかこの世界ハルケギニアたいりくのずっと遠い国から来ました、なんて答えられるより、よほど納得できた。
なにせきみの言動、行動、さらには持ち物、その全てが私の知るこの世界ハルケギニアの常識の外にあるのだからね。
うむ、ますます面白くなってきたぞ」
「……なんだか、先生とは他人のような気がしませんよ」
特にその好奇心は、と心中で付け加える俺に、先生は笑って答えた。
「変わり者だ、変人だ、と呼ばれる私と気が合うとは、きみも変わっているな!
ふむ、いや実に愉快だ!
きみになら、私の思想も理解出来るかもしれんな!」
「思想、ですか?」
「そうとも。いいかね?
ハルケギニアの大多数の貴族は、魔法を単なる道具のようにしか捉えておらん。
そうだな、“箒は掃除道具だ”……いや“掃除道具でしかない”と信じている、と言えば分かりやすいかな?
何と言ったか……、そう、固定観念だ。それに雁字搦めに縛り付けられておる。
私は、その固定観念を打ち破りたい。
魔法は、使いようで顔色を変えるのだ。
だからこそ伝統などに縛られず、様々な使い方を模索すべきだと、そう思うのだよ」
先日ルイズにぶっ壊された機械も、その“模索”の一つの形なのだろうか?
そんな事を考えた俺の目の前、先生はいつにもまして熱く、その思いを滾たぎらせているようだった。
「そして私はきみに出会い、その思想が間違っていないのだと確信することができた。
異世界。そう、異世界だ!
この世界ハルケギニアの魔法の理ことわりから外れた法則ルールも、この世界ハルケギニアで存在し続けることが出来る!
実に興味深い! 面白い!
だからこそ、私はその外れた法則ルールをもっとこの目で見たい!
確かめたいのだ!
その新たな理ほうそくは、私の魔法の研究に、さらなるページを増やしてくれることだろう!」
話をするうちにどんどん熱くなっていった先生は一つ空咳を吐いて、真剣な目をして俺に告げた。
「だからサイトくん。
困ったことがあれば、何でも私に相談してくれたまえ。
この『炎蛇』のコルベールは、いつどんな時であろうともきみに力を貸すことを、ここに約そう」
協力を確約してくれたコルベール先生が再び油の解析に没頭しはじめると、才人がそこで出来ることはもうなかった。
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