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fate/vacant zero
灯蛇
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ったからな」


 ぐっと苦虫を噛み潰したような顔をしたルイズは、うつむき、震える声で言った。



「そ、そのクビなんだけど、ば、挽回のチャンスも与えないのは、ひ、卑怯よね」


「挽回って……、だから、あの時は俺はなんもしてないぞ。

 ベッドの上に二人で居たのは、シエスタが倒れかけたのを支え損なっただけだ。
 誓って疚やましいことはない」


「……ほんとに?」

「ほんとに。
  シエスタと部屋で会ったのもあの日が最初だから、それ以前になんかした――なんてことはないからな、くれぐれも」


 そう、と呟くルイズの目元は髪で隠され、それが彼女をなんだか弱弱しく見せていた。



「んで? 話は、そんだけか?」



 うぅ〜、なんて唸り声を発しながら、上目遣いに才人を睨んでいるルイズ。

 その口元はもごもごと動き、なんで偉そうなのよ、とか、謝りなさいよ、とか小さな声で呟いていたが、才人にその声は聞こえない。

 やがてそんな動きも止まり、反応を返さないルイズの顔を下から覗き込んだ才人。



「……お、おい。なんで泣いてんだよ」

「だって……、だって……」


 才人がその肩に手を置くと、ふるふる身体を揺らして振り払おうとしてくる。



「こら、大人しくしろって。泣くなよ」


「だって(ひっく)早とちり(っく)うそ(えぐっ)わたし(ぐしゅっ)バカみた(ずるっ)」


 涙混じりに何かを言おうとするルイズだが、嗚咽と鼻をすする音が間々で混じってまったく聞き取れない。

 どうしたもんかなと悩みながら、とりあえず才人はしばらくその頭に手を置いていた。













「……で。これがその宝?」


 授業が始まる頃になってようやく落ち着いたルイズは、数日前から存在していたF-15イーグルが気になっていたのか、そんなことを尋ねてきた。



「そーだよ。
 『飛行機』っていう、俺の世界の空を飛ぶための道具」

「これが、空を? ほんとに?」


 ものすごく胡散臭そうな目で、目の前のF-15イーグルを見上げるルイズ。



「嘘ついてどうするんだよ。
  別にどこも壊れてなかったし、さっき先生が持ってきたオイルも問題なく使えたし。
  量が揃ったら、すぐにでも飛べるぞ」



「……それで?」



「それでって?」


 F-15イーグルを見つめていた才人は、寂しげに言うルイズの方へ首を傾けた。

 ルイズは、不機嫌そうな顔で問い詰める。



「空を飛んで、どうするのって聞いてるの」



 才人は少し考えて
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