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fate/vacant zero
灯蛇
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「うぅー。なんで、どこにも居ないのよ……」


 しゅんとした背中で憤懣ふんまんと悲壮ひそうのオーラを醸しながら、ルイズはここアウストリの広場に、学院一周才人探索の旅から戻ってきた。


 三日前の夜、夕食を持ってきたシエスタから才人が戻ってきたことを聞いたルイズ。

 その夜明けより詔みことのりをつくる合間を縫って朝昼夜と各三回、才人を連れ戻すべく学院を歩き回って彼の姿を捜し求めているのだが、運が悪いのかなんなのか。

 運命か何かにおちょくられてるんじゃないかって思うほど器用に、二人は入れ違いを繰り返していた。


 才人が機体を磨みがくべく道具を探して学院を駆け回っていて捉つかまらなかったり。

 コルベール先生に呼ばれているとは露知らず延々と学院中を探させられたり。

 気分を変えた才人が寮の屋上で魔法の練習をしているなんて思いもせずにF-15イーグルの前で待ち伏せして肩透かされたり。


 etcエトセトラ,etcエトセトラ,etcえとせとら.

 斯様かように運が悪いルイズであったが、とうとう運命とやらも不憫ふびんに思ったらしい。



「あ……」



 食堂に向かう前に最後にもう一度だけF-15イーグルを見ていこうとしたルイズは、そこでようやく、機体にもたれて寝こけている才人の姿を目にすることが出来たのであった。



「あ……!」


 吃驚びっくりした様子のルイズは、ようやく見つけた自分の使い魔に向かって、







「あああああんたなにしてんの――ッ!!」

「へぶろッ!?」



 やるせなさとか腹立たしさとか言いたかったこととか全部ひっくるめて、鳩尾みぞおちへドロップキックをぶち込んだ。

 若干テンパったルイズは、後ろへぶっ倒れて腹を折ってもだえている才人の胸倉を勢いで引っつかんで立てらせる。



「ひ、ひひ人が探して何回も何回も何回も学院中探し回ってたってのに、あ、ああんたぐーすか寝てるってなにそれ。
 なんなのよいったい。
 ご主人さまを虚仮こけにすんのも大概にしなさいよ!」


「こん、の……、なんなんだいきなり!
 わけわかんねぇ怒り方してんじゃねえ!!」


 がくがくと前後に揺さぶりをかけながら捲くし立てるルイズが、半ギレした才人に怒鳴られて動きを止めた。





「……んで? なにしに来たんだよお前。
 顔も見たくねえんじゃなかったのか?」


 ため息を吐いて才人が尋ね、びくりとルイズは再起動する。



「そ、そうね。そうだったわ。

 あんた、ご主人様に無断でどこ行ってたのよ」

「宝探し。
 誰かさんにクビにされちま
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