竜は異界の風を見せるか?
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人はギーシュの、タバサはキュルケの背中にそれぞれ衝突してもんどりうった。
どうやら二人は飛び込んですぐのところで立ち止まっていたらしい。
横から射していた朝日のせいで、中が陰かげになっていたようだ。
団子になった四人はごろごろころころと転がって、何か硬いものに衝突して止まった。
「いってててて……」
「いったぁい……、あ、タバサ大丈夫? 怪我はない?」
「……(こくり)」
「ぐぉおおぉお……」
頭やら腰やら、打ったところをさすりながらよろよろと立ち上がる四人。
……何気に、これがこの一週間で最大のダメージかもしれない。
「い、いったい、いきなり何をするんだねきみは……」
「そりゃ聞きたいのは俺の方だぞ……、なんであんなとこで立ち止まってんだよ……?」
才人は鼻っ面から行ったのか、顔面を押さえて反論した。
ギーシュはキュルケと顔を見合わせ、答える。
「それはだね……これのせいだよ。顔を上げれば分かる」
これって何だ、と思いながら才人は顔から手を離して前を向いた。
するとそこには、
「…………『戦乙女ワルキューレ』じゃねえか」
先ほど閂かんぬきを圧へし折った、ギーシュの青銅人形ゴーレムが立っていた。
どうもさっきはこいつにぶちあたって止まったらしい。
板張りの床にぶつけたにしては顔がやたら痛いと思ったらこいつのせいか。
「違う違う、その奥だよ、奥」
「奥ぅ?」
視界一杯にワルキューレが移っていたので、一歩後ろに下がってギーシュの言う『奥』を眺めやる。
危うくあっと叫ぶところだった。
うっかり、胃に空気をデシリットル単位で呑み込んだ。
驚きすぎて、呻く声さえ出なかった。
とんでもないものが、そこに安置されていた。
「何かしらね、これ?
とりあえず、『羽衣』って呼べるような代物じゃあないみたいだけど」
「個人用の凧フネ、かな?
いや、それにしては材質が木じゃないな……。金属でもないようだが。
そもそも風を受けるための帆がついてないし、翼が羽ばたくように出来ているわけでもない。
それでいて、小さな竜並に大きいときた。
こんなものが、本当に空を飛ぶのか?」
「やっぱり、ハズレだったかしら……。
って、タバサ? サイトも、なんでこんなガラクタをそんなに熱心に見てるの?」
呆然とソレを見据える才人の背後でキュルケとギーシュが何やら目の前の物体について議論していたが、才人はソレを気にもせず
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