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fate/vacant zero
竜は異界の風を見せるか?
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うしてもと頭を下げて頼み込んできた才人に折れたらしい。



 それから、シエスタの家族にも紹介された。


 両親に、兄1人、弟2人、妹4人の大家族。

 父母は初め、不意に貴族とともに現れた“平民”を胡散臭そうに見ていたが、魔法学院でシエスタが世話になっている人(本当は、逆だけれど)だと婆さんが紹介すると途端に相好を崩し、もてなし度合いを皆と同列強、くらいにまで跳ね上げた。

 そんな“いい家族”の姿に才人とタバサは、自分でも気付かないほど少しの寂しさを覚えた。



 なお、昼食の途中で“貴族を泊める”ことを聞きつけた村長が、息堰いきせき切らして飛び込んできたのも明らかに余談である。







 同日夕方。



「こんな感じか……?
 Luna猛れ Magnus大きな Ventosus風!」


 村から、人気のない共同墓地を挟んだ反対側の開けた所で、才人とタバサはいつも通りの、でも少しだけいつもとは違った授業をしていた。


 二乗呪文ラインスペル『突風ガスト』と『風槌エアハンマー』。

 今日の課題はそれである。


 昼食後すぐに何を約するでもなく二人して町外れに出向き、休憩を合間合間で挟みながらの二人の授業は、いつになく熱心であった。

 家族というカタチに感じてしまった寂しさを、無意識に紛らわせようとしたのかもしれない。

 が……、それはこの際置いておこう。


 肝心の授業の成果はというと。



 基礎魔法コモンマジック『風縒ヴァンデル』の上位版である『突風ガスト』の方は、驚くべきことに一発で成功した。

 練り込みこそ甘いが、『ライン』成り立てとしては望むべくもないレベルだ。


 一方の『風槌エアハンマー』は、と言うと。



「……だめ。工程が混ざって、ただの突風になってる。
 『固め』て『吹かせる』それぞれの過程を、しっかり分けてイメージして」

「うぇ、またか……。

 自分ではちゃんと二つに分けて、固めて吹かしてるつもりなんだけどな。
 何処で間違えてんだ……?」



 ――とまあ、こんな感じであった。

 挑戦初日なのだから、『突風ガスト』を成功させただけでもよしとすべきだろう。



 こうして才人は、昼食から夕日が差すまでの間に、通算で『突風ガスト』一回(成功)、『風槌エアハンマー』二回(どちらも失敗)を唱え、精神力切れで立ち眩みを起こして授業を終えた。

 普通なら精神力切れを起こすと立ち眩み程度では済まないのだが、その程度に収まる辺り、飽くなき好奇心とは偉大であるのかもしれない。







 そんなこんなで授業を終えた
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