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fate/vacant zero
たからさがし
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た。





 そうして一方。

 ギーシュをおちょくるのもそこそこに、キュルケは地図を開いて裏面に記載された情報を眺めていた。



「ここのお宝は村の秘宝と、鴨鬼ダックの集めた貴金属だったわね……。
 それじゃ、先に場所が分かってる方から片しちゃいましょっか」


「それで、その秘宝とやらはどこにあるのかね?」


 ギーシュもまた、先ほどまでの口論を気にした様子もなく先を急かす。

 一週間同じ内容を繰り返してきたのか、もはや口論も定型文となりつつあるようだ。



「慌てないの。
 えっとね……、この寺院の中には祭壇があって、その裏側に仕掛け扉があるらしいの。
 そして、その中に……」

「その中に……?」


 ごくりと、ギーシュが唾を飲む。



「ここの司祭が寺院を逃げ出すまでの間に溜め込んだ金銀財宝、そして伝説の秘宝『青い瞳』が眠ってる……。


 と、この地図には書かれているわ」

「『青い瞳』?
 そりゃ、いったい何なんだね?」


 ギーシュは、思わせぶりに髪をかきあげたキュルケに尋ねた。



「巨大な青玉サファイアの使われたペンダント……というより、この秘宝を秘宝たらしめているのは青玉サファイアそのものみたいね。
 それを覗き込んだ者の瞳に、海で起きた全ての出来事を映し出すとか――」











 その夜。


 寺院の中庭、藪やぶを切り払われて拓かれた一角に、焚たき火を囲んで座る一行の姿があった。

 その誰もが、疲労の色を隠せていない。


 ギーシュとキュルケの間には、真鍮しんちゅうでつくられた装飾品類が平積みにされていた。



 元住人たちのとった作戦、『噂釣り』には大きな穴があったのだ。


 確かに、鴨鬼ダックには貴金属類を集める習性がある。

 だが腕利きの冒険者たちは、鴨鬼ダックの群れと正面きってぶつかりあうことが危険だということも知っていた。


 そこで冒険者たちは鴨鬼ダックどもを村の郊外へと誘き出し、その隙に中に隠された財宝の類をこっそりと持ち出していった。



 つまるところ。

 村の秘宝や鴨鬼ダックたちが集めた値打ちのある・・・・・・貴金属の装飾品類は、腕利き冒険者たちプロのハイエナの手によって当の昔にまんまと掠め取られ。


 そうして後には、値打ちのない卑金属類――主に真鍮や軽銀アルミ――や傷物になっていて値打ちの激減した物のみが残された……というわけだ。



「――で、だ。このペンダントだが……」


 ギーシュは焚き火の灯りと目の間に収穫物の一つである『青い瞳』……ら
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