たからさがし
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操っていたギーシュが乗っていた。
「いいじゃないかね。
彫像ゴーレム遣いの魔法使いメイジが敵の手の届くところに居たって、いいことなんか何もないんだから。
大体、それを言うならキュルケだってそうだろう?」
「あたしは一応、敵のすぐ傍に潜んでたわよ?
誰かさんみたいに遠ざかってちゃ、点火が遅れちゃうもの」
と、木から降りてきたキュルケが言った。
ちなみにその油のプールおとしあなは、ヴェルダンデとギーシュによる合作である。
「……ぼくが気を失ったりしたら、その場で『戦乙女ワルキューレ』は動かなくなってしまうんだが」
「空にいたんじゃそもそも狙いもタイミングも計れないじゃないの。
サイトやタバサが『針』の射程範囲に入っちゃったらどうするのよ?」
やいのやいのと、戦闘前に言い争ったこととまったく同じことを繰り返し始めたギーシュとキュルケ。
「おーい、相棒。
とりあえず、血ぃ拭いてくんないかな。錆びちまうよ」
「ん、ああ」
その言い争いをぼぅっと眺めていた才人は、その辺りに生えている木から葉を一枚むしりとると二つに折り、デルフの刀身を挟んで根本から刃先へと滑らせる。
そうして血と脂を拭い棄てながら、先ほどの戦闘の中身に思いを馳せる。
結局、今日の戦闘でもデルフを使えたのは最初の一閃だけだった。
鴨鬼ダックの細い頸くびに刃を食い込ませて刎ね飛ばした瞬間、またあの時の、ワルド(の偽者)を頭から股まで両断した時の、肉を、骨を刃に喰わせる気色の悪い感触が手に戻ってきた。
それを認識した途端、背筋に怖気おぞけが走り、手が大きく震えだして。
しかもそれは、未だに治まる気配がなくて。
最初の一羽以降、デルフを守りばかりに使い、攻撃が魔法頼りになってしまっていた。
この七日間、行く先々で先ほどまでと同じように亜人や幻獣の類と戦ってきたが、そのいずれにおいてもこう・・だった。
肉を斬る度、骨を断つ度に、あの時の『人を斬った』感覚が、どうしてもよみがえってしまうのだ。
拭い終えたデルフを背負いなおして一つ溜息をついていると、横合いから伸びてきた手が、震え続ける腕をそっと撫でた。
「まだ、生物せいぶつ相手は苦手?」
それは戦闘終了以降、何をするでもなく才人の手を見ていたタバサだった。
ちなみに、この質問もこの七日間、戦闘が終了するたびに繰り返されている。
「そう、だな。でも、直に治るから大丈夫だって。心配してくれてありがとな」
こくんと頷くタバサだったが、腕をなでるその手は、震えが治まるまで休められることはなかっ
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