たからさがし
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万全の精神力にシェルンノスのサポートを加えて放たれた、いわば現在における完全版だ。
その威力と精度は、既に熟練の者と並べてもまったく遜色はない。
眼前12メイルほど遠くの中空、きっかり敵のど真ん中を起点として発動したソレは、辺りの水蒸気を吸い込み、氷結しながら見る間にどんどん巨大化していく。
やがて半径10メイルほどの球状になった氷柱つららの嵐は、中に残存した全ての鴨鬼ダックどもを閉じ込めたまま、30秒ほど吹き荒れ続け……。
そうして吹雪が治まった時。
先ほどまで激しく嵐の吹き荒れていた場所には、もはや動くものなど何一つとして残されてはいなかった。
もし、中隊員40名全員が参戦できていたならば。
あるいはその数が半減した時点で退却を決め込んでいれば。
鴨鬼ダックたちの勝利もありえたのかもしれなかった。
だが彼らは、血に上った頭のまま、怒りに駆られてその場で復讐を敢行しようとしてしまった。
奇しくも隊長ジェネラルが考えたとおり、落ち着きを失ったことこそが彼らの命取りとなったのだ。
ばっさばっさと風を巻き上げながら、空からシルフィードが降りてきた。
シルフィードが戦闘に参加して怪我でもしたら、歩いて帰る羽目になる。
よって、戦闘には参加させない……というのが、俺たち四人で事前に取り決めた内容だったわけだが。
まあ、実際の事情は少し違う。
理由はよく知らないが、タバサはシルフィの正体を隠しておきたいらしいのだ。
口の軽そうなギーシュは勿論、友人のキュルケにさえ。
……俺にシルフィが自暴じばくして喋った時、見ている方が痛くなってくるくらいにタバサのお仕置きは過酷だったから、タバサがそうしたいんなら俺も吝やぶさかではないわけで。
でもって。
普通の風竜は喋れもしなけりゃ息吹ブレス攻撃もできないし、魔法も唱えられないらしい。
結果として、正体を隠したままだとシルフィは肉弾戦ぐらいしか出来ることがないわけで。
その状態でどのくらい戦えるのかが、俺は勿論、タバサにも予想がつかなかった。
加えて、シルフィが闘ってる最中にうっかり詠唱や息吹ブレス攻撃を使ったりしない、という断言が出来なかったのが決め手となって。
こうしてシルフィの不参加は、こっそりと内定されていたのだった。
――ちなみに。
「今回もどうにか勝てたね。サイト、タバサ、ご苦労さま」
「……(じー)」
「言ってろ。一人だけ高見の見物決め込みやがって」
その背中には先ほどまで『戦乙女ワルキューレ』を
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