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fate/vacant zero
軋んだ想い
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 最近、同じような夢ばかり見る。



 朝、ベッドで目を覚まし。

 着慣れた制服ブレザーに、手早く着替え。

 階下に降りて、歯を磨き。

 リビングで、両親におはよう。


 ニュースを流すテレビを横目に、和食な朝飯を口にする。

 ゆっくりと食べ終え、時間に気付き。

 自室に戻り、鞄を片手にUターン。


 玄関に降りて、靴を履いて。

 行ってきますで、『目が覚める』。



 そんな夢から――





 ――覚めた朝。



 ぼやけた視界の捉える見慣れ始めた天井と、片腕に感じる軽い重みに、失意と安堵を天秤で吊りあわせ。

 "重み"の原因である、視界の下の方に転がるハネ気味の空色を揺り動かし。


 もぞもと動く寝ぼけた眼まなこに、挨拶して。

 ふにゃけて返されるおはように、至福と劣情を掻きたてられながら、全力で自制する。



 ここ、タバサのベッドで才人が寝起きするようになって、3度目の朝の一時ひとときである。



 たった3度ですっかり自制に手馴れてしまっている辺り、どういう適応力をしているのかこの男は。







Fate/vacant Zero

第二十四章 軋きしんだ想いココロ







 ことは過日の昼下がり。

 授業を終えて『風』の塔から現れたタバサが、ヴェストリの広場、その隅の風呂釜を前にして座り込んでいる才人を発見した時まで遡る。



 ここ一週間ほどの日課となりつつある"授業"の"生徒"を発見したタバサは、迷いなく本塔へと続く廊下から逸れた。

 そして、いつものように彼に"授業"の誘いを掛けた。


 ところが、いつもならそこで一も二もなく乗り気になるはずの彼は、

「悪い、今日はそんな気分じゃねえんだ」

 と、やけに落ち込んだ様子で誘いを断ってしまったのだが。


 様子が気になり、なぜと理由を訊ねてみれば。

「俺が、土竜モグラだからだ。
 情けない、しがない、惨みじめな土竜モグラだからだ」


 まったく要領を得ない答えが返ってきた。

 何やら強そうな土竜とやらについても気に掛かったが、彼が異常に卑屈になっているのもそれに輪をかけて気になる。


 ルイズと何かあったんだろうか。

 訊ねてみると、どうやらメイドと二人してベッドに倒れこんだところを目撃したルイズによって、使い魔をクビにされたらしい。



「あなたは」


 目立つ問題点から指摘してみよう。



「ギーシュと同じ?」

「……なにがだよ?」


 お前は何を
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