軋んだ想い
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後ろは振り返らないで、ドアに向かいながら助言を残す。
「使い魔は、魔法使いメイジにとっての相棒パートナーよ。
……こんなこと、あなた自身が一番よくわかってたんじゃなくて?」
背後、空気が震えるのを感じながら、部屋の外に出る。
ルイズの方は、これでいいとして……、サイトの方はどうしようかしら。
現状に満足しちゃってるみたいだから、何かしら対価でも持ち出さないとダメかしらね……ああ、もう、主従して面倒なんだから。
「なんであたしがこんなことしてるのかしら……」
Ans.ルイズを気に入っているから。
なんというかつくづく損な性格であるキュルケは、"対価"の候補を考えながら食堂へと向かった。
とりあえず今日の授業をサボることを内定したのは余談だろう。
『士爵サー』ヘンリ・ボーウッドは、己が生粋の軍人であることを自負する、アルビオン空軍の士官である。
彼は先の内戦――聖邦復興同盟レコン・キスタが称するところの『革命戦争』の折、同盟側巡洋艦の艦長として参戦した。
同内戦中の『レキシントンの戦い』において王党派の戦艦2隻を撃墜した功績が認められ、現在は『レキシントン』号の改装艤装主任を任されている。
艤装主任は艤装終了後、そのまま艦長に就任するのが王立時代からのアルビオン空軍の伝統であり。
神聖アルビオン共和国とその国名を変えても、その伝統は変わることがなかった。
彼は近い内に、共和国空軍旗艦『レキシントン』号の艦長となりおおせるわけだ。
自ら同盟に参加した多くの貴族たちから見れば、出世街道をひた走る彼の姿はさぞかし輝かしく映ったことだろう。
だが、今まさに輝いているはずの彼の心情は暗かった。
繰り返すが、ボーウッド士爵は己が生粋の軍人であることを自負している。
彼にとって軍人とは物言わぬ剣であり、盾であり、祖国の忠実な番犬であった。
番犬は政治に関与するべきではないという意志を、彼は強く持っていた。
それが為に、上官の艦隊司令が叛乱軍・・・側についた際、やむなく叛乱軍側の艦長として参加してしまったのだが――
「なんとも大きく、頼もしい艦ふねではないか。
このような艦を与えられたら、世界を自由に出来るような、そんな気分にならんかね? 艤装主任」
「……我が身には、余りある光栄ですな」
その叛乱軍の頭は、今まさに改装中の……否、偽・装中の『ロイヤル・ソヴリン』号を視察に訪れた、目と鼻の先に居るこの男。
祖国が共和国へと名を
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