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fate/vacant zero
軋んだ想い
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トがそこにいた。



「……まさか、こんな結果になるなんてね。
 ヴァリエールの嫉妬深さを甘く見すぎてたかしら」


 自分としては、例のメイドとサイトの距離を縮めさせないのが目的だったのだ。

 それだというのに蓋を開けてみれば、応援しけしかけてみようと思ったルイズは部屋に閉じこもり、サイトは再び厨房へ通い始め、タバサの部屋で寝泊りするようになってしまった。


 最後はともかく、それ以外はいただけないにも程がある。

 そもそも、使い魔を追い出して困るのはほかならぬルイズだろうに何をやっているのか、と。


 何がどうしてこんなことになったのかを確かめるため、まずは目の前の扉を叩く。

 3秒待つ。



 返事がないので、強行突入。


 杖よし、呪文よし、精神力よし。

 『鍵空けアンロック』を唱えた。



 ……なぜか、手ごたえが無かった。


 もしや、とドアノブを掴んで軽く捻ってみると、抵抗もなくかちゃりと音を立てる。

 鍵が掛かってなかったらしい。

 無用心さに呆れながら、ドアを押し開いて侵入すると。




「トレイはそこのテーブルに置いて。すぐ出て行きなさい」



 そんなわけのわからない、やたら怒りの詰まった、くぐもったルイズの声が飛んできた。

 部屋の奥を見やれば、ベッドの毛布がぷっくり膨らんでいる。


 そこね。



「人違いよ、お邪魔するわ」

「だから出て――ぇ?」


 ようやくこちらの正体に気付いたらしいルイズが、毛布の端から顔を見せた。

 唖然とした顔ににやりと笑い返し、既に動かしていた歩を進ませて、隙だらけのルイズから毛布を剥ぎ取る。


 毛布を遠くに押しやって、ネグリジェ姿で女の子座りしたルイズの隣、ベッドの上に腰を下ろす。



「……何しに来たのよ?」

「ご挨拶ね。あなたがずっと休んでたから、見にきてあげたんじゃないの。
 ダーリン、心配してたわよ?」


 嘘ではない。

 口にはしていなかったけど、昨日教室に入ってきたサイトは、ルイズの空いた席を見て溜め息ついてたから。


 サイトの名前を出した途端、ルイズはぷいと顔を逸らしてしまった。

 それ、どうみても拗ねた恋人の仕草だっていう自覚はあるのかしら?



「で? どーすんの、自分の使い魔を追い出しちゃって」


「そんなの、あんたに関係ないじゃない」

「あら、そう。
 じゃあ、ダーリンはあたしが貰うわね?」

「ッダメ、絶対ダメッ!」


「どうして?
 あなた、あたしが何してても関係ないんでしょ?」

「ダメったらダメ!
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