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fate/vacant zero
軋んだ想い
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「でしょ。じゃあ、タバサが嫌いなんてことは?」


 ありません。

 というかあったらいまここに居ないだろ。



「なら、問題ないでしょ?」


 う、む?

 確かに、問題ない。


 ……のか?



「ないの。さ、そうと決まったら時間が惜しいわ!
 タバサ、サイト、準備して!
 今夜の内、学院にバレない内に出発するわよ!」


 むぅ。


 なんだかはぐらかされた気がするけど、まあいいか。

 プロポーズするのだって、別にイヤなわけじゃないしな。


 むしろ、チャンス到来ってとこだ。玉砕しそうな気はするんだが。


 ……あれ? じゃあ、なんでさっきは嫌がったんだ?



 …………あれ?



「サイトー? ほら、ぼーっとしてないで早く早くー」


 キュルケの呼び声で、意識を世界に戻された。

 気付かない内に随分と時間が浪費されていたらしい。


 宙に浮いていた視界を声のした方に向ければ、もう三人とも準備万端といった様子で窓際に立っていた。

 準備万端といってもタバサは杖を持っただけだし、キュルケとギーシュはそれぞれ革袋に荷物をまとめてから来てたみたいだから、見た目の上で大して変わってはないんだが。


 三人の向こう、窓の外にはシルフィードが滞空中。

 頭の上にはフレイムが寝そべり、口元にはヴェルダンデが咥……ってまたあの運び方されてんのか……合掌。


 とにかくどう見ても、準備出来てないのはもう俺だけのようだ。



「わるい、今行く!」


 服装、よし。

 当然だ、いま着てる半袖パーカーとスラックスしか服なんて持ってない。


 杖ステッキ、よし。

 ちゃんとさっきしまったとおり、内ポケットに入ってる。


 武器デルフ、よし。

 ……前の鞘にはもう入らねえし、そろそろ新しく鞘作るなり買うなりしねえと。

 抜き身で持ち歩くなんて、物騒にもほどがある。


 ……しかし、今日は静かだなこいつ。剣でも寝たりするのかね。


 以上。準備完了だ。







 なんだか妙な寂寥感を覚えたりもしたけど、それも今はとりあえずどうでもいい。

 ハルケギニア、二度目の旅。

 俺は弾む胸を押さえきれずに、待っていた三人の誰よりも早く、窓の外のシルフィードに飛び乗った。







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