軋んだ想い
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士爵シュヴァリエなのは知ってるけどさ。
「ただし」
ただし?
なんか楽のできる条件でもあるのか?
「この国では、平民が領地を購入すること、公職に就くことは法律違反」
待たんかい。
いや待ってください。
それはなんですか、要するに俺に犯罪を犯せとおっしゃいマスか?
「ちょっと、落ち着いてよサイト。
確かにトリステインはそうだけど、あたしの国だったら話は別よ?」
キュルケの国?
って、ああ。そういえばキュルケって留学生なんだっけ。
「ジャーマn、じゃない、ゲルマニアだったか?」
「そ。お金さえあれば、平民だろうと奴隷だろうと土地を買って貴族の姓を名乗れるし、公職の権利を買って中隊長や徴税官になることだって出来るのよ」
……それって、どんな無能でも役人になれるってことじゃ……大丈夫なのか、ゲルマニア?
「民衆は正直だもの。
ゲスな上官なんて、成り上がった三日後には淘汰されるのがオチよ。
頑張ってね、サイト」
おう、肝に銘z……ちょっとタンマ、キュルケ。
「なあに?」
「つまりその、なんだ。
金の力で、俺に貴族になれと? お前の国で」
「その通りよ」
「その金は、どうやって払やいいんだよ。
俺、文無しだぞ?」
「そりゃもう、これから探しに行くに決まってるじゃないの」
「探すって……どっから」
金なんか、道端に普通に落ちてるもんでもないだろうに。
「ここからよ」
と、キュルケはギーシュの持っていた紙切れから一枚を無造作に抜き取り、手渡してきた。
何かが描かれているそれを見つめてみる。
表には、地図らしき絵柄。そして裏には、
「――『アングル地方』、『旧寺院跡』、『叶えの骨片ウィッシュボーン』、『鼠鬼ポロンのねぐらアリ』?
……なにこれ?」
「宝の地図よ」
「宝ぁッ?」
素っ頓狂な声が、喉から洩れた。
驚き、じゃなくて反射的な歓喜の声。
「そうよ! あたしたちは宝探しに行くのよ!
でもって見つけたお宝を売って、お金に変える!
そうして貴族になったらサイト、あなた……"自由"よ?」
『お宝探し』。
『自由』。
なんかこう、漢心をくすぐられる響きだと思わないか、タバサ?
「お薦めしない」
へ?
「地図には、偽物が多い。宝にも、贋物が多い。加えて、危険も多い」
「肩すかしくらうハイリスク、ってことか?」
「そう
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