軋んだ想い
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こんなことをさせられているんだい?」
そうぼやきながら歩くギーシュの両手には、大量の羊皮紙の地図の類が積まれていた。
今朝、キュルケに捕獲されて街まで拉致されたギーシュは、魔法屋・情報屋・雑貨屋・露天商などを巡り手に入れたそれら――胡散臭い『宝の地図』を集めさせられたのだ。
費用は折半。
それだけで今月分の小遣いは露と消えたのが、少し哀しい。
「決まってるじゃない。
ルイズとサイトに関係の深い男手って言ったら、あなたぐらいだったからよ」
「確かに、他のきみの知り合いにそんなこと手伝わせても、妨害しようとするだけだろうね」
きみが彼と流した浮いた噂のせいで、とは口にしない。
「確かに、魔法使いメイジと使い魔はパートナーであるべきだ。
その意見には賛成だし、それが彼女らならなおさらだがね。
だけど、こんな野蛮な手段だなんて……」
「あら、貴族も平民も、チャンスは平等にあって然るべきよ。
『メイジにあらずば貴族にあらず』なんて言ってるこの国トリステインは、人材が育たなくって国力を弱めた挙句、一国じゃアルビオンに対抗できなくなってゲルマニアに同盟をもちかけたんじゃなかった?」
ふん、と鼻から息を漏らして、ギーシュは話題を変えた。
不利だから逃げるわけではない。断じてない。
「……この地図、本当に本物だと思うかい?」
「ま、殆どはゴミでしょうね。
でも、これの中から、見つけ出すしかないのよ」
目的を達成するには、と言葉を倒し置くキュルケ。
「彼を金の力で貴族に仕立て上げて、ルイズと対等な立場に立たせる、ね。
……逆効果になるんじゃないかい?」
あのルイズが、ゲルマニアの貴族になったサイトを貴族として扱うかどうか、と聞かれると。
…………『あんたなに勝手に貴族になってんのよ』と怒鳴るルイズの幻覚が見えた、ような気がする。脳内で。
「あたしもそこは考えたんだけど……、ダーリンの方を納得させるのが今回の目的だからね。
そこは、後でダーリンに苦労してもらいましょ」
「彼がなんだか憐あわれに思えてきたよ……。
ところで、これを届けたらぼくは帰っていいかい?」
「あら。ギーシュ、あなたお宝に興味はないの?」
うぐ、と動きを止めるギーシュ。
それはもちろん見たい。
宝探し、浪漫があって実にいいじゃないか。
それにのるのが男というものなのだが、流石に賭けの分が悪すぎて……。
「モンモランシーだって、そういう珍しいものをプレゼントしたら機嫌を直してくれるかもよ?」
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