軋んだ想い
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言っているんだ、と顔で語られた気がする。
どうして彼は、この手のことにこれほど疎いのだろう。
恋愛小説の類を読ませてみた方がいいのだろうか。
いや、わたしが少し遠回しすぎたのかもしれない。
反省。
もう少し、まっすぐ訊ねてみよう。
「浮気性」
彼の膝と手のひらが、がくっと地に落ちた。
いま、何か間違ったこと言った?
「……あのな。だから、俺とシエスタはそういうのじゃねえんだって。
ただ単にシエスタが暴走しかけたのを止めただけだっつうに。
ていうか、ルイズはただの主人で俺はその使い魔っていやクビんなったけどさ!」
最後の方はやけっぱちになりながら彼が反論したので、それならそういう事にしておこうと思う。
でも、ルイズはそういう結論を出した、というのは多分間違いないはず。
「ないない。自分で言ってたけど、あいつが怒ったのは平民が自分のベッドの上でそういうコトに及ぼうとしていたって勘違いしたからだぜ?」
ルイズは、どうやらいつもの判り易い照れ隠しを使ったらしい。
長くも短くもない付き合いだけれど、それぐらいは流石に分かる。
「ともかく、だ。そんなわけで部屋から追い出されちまってな。
行くとこも、帰るあてもねえし。
とりあえず幕舎テントでもつくらねえと、夜に風邪引いちまうだろ」
いくら初夏が近いとは言っても、夜にその身一つで野宿なんてしてたら風邪をひくくらいでは済まないと思う。
楽天家な彼の足元には、長めの木の枝や古びた大きな布、藁束などが転がっている。
よく見れば、両腕も生傷だらけだった。既に何度か、建設に失敗しているらしい。
――うん。
「なら、わたしの部屋にくればいい」
そんな努力の痕を目にしたわたしの口は、反射的にそう口走っていた。
彼の目と口が点になった。面白い顔。
そのまま待つこと10秒。彼は動かない。
さらに待つこと20秒。彼は、動かない。
待つこと30秒。それでも彼は動かない。
40秒。一向に動かない彼の服の端を掴んでみる。反応ナシ。
くいくい引っ張ってみたら、合わせて体が揺れた。
目の焦点が合っていない。呆然と形容できる表情。
今度は手を取ってみる。やっぱり反応がない。
そのまま後ろへ下がってみたら、歩いてはくれた。
でも、相変わらず目の焦点は合っていない。
……時間が勿体無い。
「緊急避難」
という名目で、実力行使。
彼の手を引き『飛行フライ
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