複雑明快な連逢事情
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んを間違えている。
これはどうだろうか。
ここを間違えていると、呪文があらぬ方向に素っ飛んでいったり、完成しかかった魔法が杖から逆流してきたりするんだが。
ルイズが何度か唱えていた攻撃魔法の類は、ワルドに直撃させられる程度には射出も着弾もしっかりしていた。
「……ぃ」
っていうか、過程を間違えただけで『錬金』が爆発したりは……、まあ、フツーはねえだろ。
「……ーぃ」
となると――
「……おーい、相棒。聞こえてるかー?」
……ん?
「なんだよ?」
"巣"の中に安置したデルフに向き直り、軽く睨んでやる。
考えごとの途中で、声を掛けるなって。
「客みてぇだぜ」
「え、客?」
部屋の中を見渡しながら、デルフにオウム返しに問い返す。
まあ当然ながら、扉も開いてない部屋の中には、掃除中と変わらず俺とデルフ以外の姿はない。
ついでに言えばここはルイズの部屋であるからして、ルイズは客の範疇に入るはずもない。
となるとタバサか、キュルケか、はたまたギーシュか。
誰だろうね、と思っていたら、こんこんと扉を叩く音がした。
「開いてるよ」
そう音源に声を掛けると、がちゃりと軽く開かれた扉の隙間から、フリル付きカチューシャで黒い髪を纏めた、見慣れた少女がひょっこりと現れた。
「あれ。シエスタ?」
「あ、あの……」
なにやら不安そうにどもって中に入ってこないシエスタに近づき、扉を大きく開いてやる。
その両手は、沢山の料理を載せた皿やティーポットを乗せた、いつもの配膳用の銀のトレイに塞がれていた。
「あの、ですね。最近、さ、サイトさん厨房に来なかったじゃないですか?」
ああ、と頷く。
ルイズや、隣席のマリコルヌの許可(?)を得て食卓に着けるようになったからなぁ。
風呂を厨房と真反対のヴェストリ広場においちまったからか、実験タイムもヴェストリでやることが増えちまったし。
最後に食事目的で厨房に足を運んだのって、確かアルビオンへ向かう日の明け方だったか?
「だから、おなかすいてないかな、って。ちょっと、心配になって、それで……」
お盆を持ったままそうもじもじするシエスタを見ていると、いらない心配させちまってたんだなぁ、となんだか申し訳ない気持ちになってくる。
マルトーの親父おやっさんとかもこの調子だと心配してくれてそうだし、また顔見せに行こう、と決意した。
お釜を貰いに行ったっきり、コックたちとは顔を合わせた記憶もない、ってのは流石に悪い
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