暁 〜小説投稿サイト〜
fate/vacant zero
複雑明快な連逢事情
[8/18]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
んを間違えている。


 これはどうだろうか。

 ここを間違えていると、呪文があらぬ方向に素っ飛んでいったり、完成しかかった魔法が杖から逆流してきたりするんだが。

 ルイズが何度か唱えていた攻撃魔法の類は、ワルドに直撃させられる程度には射出も着弾もしっかりしていた。

「……ぃ」

 っていうか、過程を間違えただけで『錬金』が爆発したりは……、まあ、フツーはねえだろ。

「……ーぃ」



 となると――



「……おーい、相棒。聞こえてるかー?」


 ……ん?



「なんだよ?」


 "巣"の中に安置したデルフに向き直り、軽く睨んでやる。

 考えごとの途中で、声を掛けるなって。



「客みてぇだぜ」

「え、客?」


 部屋の中を見渡しながら、デルフにオウム返しに問い返す。

 まあ当然ながら、扉も開いてない部屋の中には、掃除中と変わらず俺とデルフ以外の姿はない。

 ついでに言えばここはルイズの部屋であるからして、ルイズは客の範疇に入るはずもない。


 となるとタバサか、キュルケか、はたまたギーシュか。

 誰だろうね、と思っていたら、こんこんと扉を叩く音がした。



「開いてるよ」


 そう音源に声を掛けると、がちゃりと軽く開かれた扉の隙間から、フリル付きカチューシャで黒い髪を纏めた、見慣れた少女がひょっこりと現れた。



「あれ。シエスタ?」

「あ、あの……」


 なにやら不安そうにどもって中に入ってこないシエスタに近づき、扉を大きく開いてやる。

 その両手は、沢山の料理を載せた皿やティーポットを乗せた、いつもの配膳用の銀のトレイに塞がれていた。



「あの、ですね。最近、さ、サイトさん厨房に来なかったじゃないですか?」


 ああ、と頷く。

 ルイズや、隣席のマリコルヌの許可(?)を得て食卓に着けるようになったからなぁ。


 風呂を厨房と真反対のヴェストリ広場においちまったからか、実験タイムもヴェストリでやることが増えちまったし。

 最後に食事目的で厨房に足を運んだのって、確かアルビオンへ向かう日の明け方だったか?



「だから、おなかすいてないかな、って。ちょっと、心配になって、それで……」


 お盆を持ったままそうもじもじするシエスタを見ていると、いらない心配させちまってたんだなぁ、となんだか申し訳ない気持ちになってくる。

 マルトーの親父おやっさんとかもこの調子だと心配してくれてそうだし、また顔見せに行こう、と決意した。


 お釜を貰いに行ったっきり、コックたちとは顔を合わせた記憶もない、ってのは流石に悪い
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ