複雑明快な連逢事情
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無いわけで。
要する時間は、ほんの10分もあれば事足りた。
ルイズが変わった翌日には、空いた時間を使って塵一つ残さないほどに大掃除をしてみたが、それでも二時間と掛からなかった。
もともとルイズの部屋にはあまりモノがない。
クローゼット、引き出し付きの小机、水差しの乗った小さな木の円卓と椅子二脚。
ベッドとその枕もとのランプ、そして役目を存分に謳歌している本棚。
才人の暮らしていた部屋と大差の無い、普通といえば普通の部屋でもある。
違いを強いて挙げるなら、本棚をぎっしりと埋め尽くす本に、漫画がないことぐらいか。
その代わり、子供向けの分かり易い魔術書とやらがある。
結構な量の"文章"を学んだ今の俺でもロクに読めない、難解な専門用語たっぷりの学術書もある。
果ては文字そのものが、なんか深海魚が全身で爆笑してるみたいにしか見えない怪文書まである。
それらに共通していたのは、(少なくとも読めるものに関しては)魔法に関係のある書物だということ。
そしてその全てが、満遍なく草臥くたびれていたことぐらいだった。
俺はそんな本棚の前に立ち、以前手に取った本――『6さいからはじめるやさしいきそまほうコモンマジック』――こんなタイトルだったのか――てかご丁寧にも平仮名で読めるのはどういうこった――を引っこ抜いた。
すっかり日本語で読めるようになったそれを、ばらばらっとめくる。
午前中、掃除をこの時間に回すことでより長く集中して取れるようになった実験タイム。
この一週間はタバサからシェルンノスを借りて、『造水レイン』や『発火ソース』、『精製レフィネン』、『風縒りヴァンデル』といった系統付けの練習用の基礎魔法コモンマジックに手を出していた。
ちなみにこれらは二日目のタバサの授業で一通り使わされた魔法だったりする。
『風縒りヴァンデル』以外に綺麗さっぱりと失敗したのがなんだか悔しくて、ひたすら残り三つの基礎魔法コモンマジックの練習に費やしているってわけだ。
最初にこれをやった日の午後は、よく精神力が尽きないものだとタバサに不思議がられた。
実際のところ、俺は一日一度は午前中の内に立ち眩みを起こしているんだ。
なのに、食事を取って掃除を済ませて、午後の授業を終わらせたら、すっかり体調は元に戻っている。
俺自身、それに気付いた時は自分自身に感心するか呆れるか迷ったぞ。
ひょっとしたらこれもガンダールヴの恩恵なのかもしれんけど、それはさておき。
魔法を成功させるために重要なことは三つだった。
一つ目は、魔法成功時に起こ
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