複雑明快な連逢事情
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健気だなぁ可愛いなぁ、なんて暢気のんきにのたまう煩悩が憎たらしい。
そっかと軽く相槌を打つと、気恥ずかしさから逃げるように料理に視線を戻し、まくまくと食を再開する。
食を進める。
食を進める。
進める。
やっぱり多いな。
でも進める。
進める。
進め……、なんだ、この微妙な空気。
つい、とまた顔を上げてみると、じーっと、なんだか困ったような視線で俺の顔を見つめているシエスタと、目が合った。
「シエスタ?」
「は、はいっ!?」
びくぅッと背筋まで伸ばして体を跳ねさせた。
なにごとぞ。
「えと、そんなに見つめられるとちょっと恥ずかしいんだけど……」
「そ、そうですか?
……そ、そうですね、ごめんなさい!」
ば、っと体ごと視線を外して、机にまっすぐ向き直るシエスタ。
「いや、謝ってくれなくていいんだけどさ。その……、な、何か話したいことでもあるのかなって」
……。
……。
無言。
あ、いや、シエスタがなんでか深呼吸しはじめてる。
すーはー。
すーはー。
何度か繰り返した後、シエスタは視線を前に向けたまま、話しかけてきた。
「サイト、さん」
「は、はい?」
なんだか、すっごい真剣な声色なんですが。
俺、何かしましたか。
「その、ですね。ツャイの葉っぱ、なんですが」
葉?
話が見えない。
「時々この学園にいらっしゃる行商人の方から、先週の黄金ソエルの日に仕入れまして」
そういえば、さっきも先週って言ってたなぁ……えーと。
ちょうど、一週間前?
「それで、ですね?
あの、その日の夕食でお出ししようと、本当は思ってたんですが、いらっしゃらなかったので……」
……なんだろうか。
もの凄く身に覚えがあるイヤ〜な予感が。
「夜に、お部屋にお持ちしようとして、食堂に向かってたら、ですね。
その……、あの……、み、ミス・タバサと擦れ違いまして!」
……一週間前。
そんでもって何故かタバサの話題。
=つまり、導き出される答えは?
「それでその、こんな時間にどこへ行くのかな、って、あの、純粋に興味だったんです!
それでその、後ろをこっそりついていったら……、……その……」
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