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fate/vacant zero
禁断の果実
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っている。
 まるで、文章全体を一つの言葉として捉えているように」


 そう言って、タバサがじっと俺を見つめてくる。

 あぁ……、うん。正にその通りなんだよなぁ。



「その、なんていうかさ、俺、こっちの言葉で読んでないんだ。
 変な話だけど、いま俺の目には、この本は俺の国の言葉で書かれているみたいに見えてるんだよ。
 多分、タバサに言葉の意味を教えてもらったのが鍵だとは思うんだけど」


 タバサは顎に手をやって少しの間考えると、首を振った。



「確かに、犬や猫を使い魔にすると、人の言葉を解するようにはなるから、同じことが人にも現れるのかもしれないし、文章が翻訳されることくらいはあるかもしれない。
 でも、それだけでは要約されてしまう説明にはならない」


 それなんだよな。



 ……ん、翻訳?



「なあ、タバサ。いま俺はどんな言葉で話してるように聞こえる?」


 タバサは首を傾げながらだが、答えてくれた。



「わたしには、ハルケギニアの言葉で話しているように聞こえてる。違うの?」


「ああ。俺はいま、っていうかこっちに来てからずっと、俺の国の言葉で話してるんだ。
 ついでに、タバサやルイズや……、この世界の人たちも、俺の国の言葉で話してるように聞こえる」



 タバサが、少しだけ目をぱちくりと瞬かせた。



「たぶん、これが文章の意味が変わる原因だと思う。
 まず、俺がこっちの文章の翻訳されたものを、頭で理解するよな」


 こくりとタバサは頷く。



「それで、その頭で理解した文章を、俺は俺の世界の言葉で口から喋る。
 その俺の口が紡いだ言葉を、タバサが受け取る時に頭の中でこっちの世界の言葉に翻訳……してるんじゃないかと思う。

 この翻訳してる間に、回りくどい言い回しなんかは簡潔にされてるんじゃないかな」


 タバサは再び顎に手をやり、今度は目を閉じて何事かを考えている。



 待つこと数分。

 タバサは目を開くと、顎にやっていた手の人指し指で天井を指し、話し始めた。



「少し、教え方と教科書を変える」


 俺の手から薄い本を受けとったタバサは、机の上に置かれていた軽い辞典程度の厚みのある本をその代わりに手渡してきた。



「この本を読んでみて、翻訳されていない単語が出てきたら、すぐに言って。その単語を教えるから」


 ふむ。

 それなら頭から順に日本語に化けていくから、確かに効率的だ。


 ……でも、ちょっとこの本は分厚くないか。



「そんなことはない」


 そうか。



「わかった。それ
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