禁断の果実
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、タバサ。
自分が女の子だって自覚はあるかな?
男を自分の部屋に平然と連れ込むのは、ちょっと少しかなりマズいんじゃないかって思うんだヨ、ボク。
……いやいやいや。
ちょっと待て、俺。
それはつまり、タバサになんかするつもりなのか、俺?
まてまて、昨夜ゆうべも自分で言ったじゃねえか。
俺の欲望からも守らないとって。
ほら、タバサは、純粋に俺を信頼してくれてると考えるんだ。
それに俺は、単に文字を教わりに来たんだ。
そもそも恋人でもないのにそんなことしたら、俺、犯罪者じゃん。
ていうかこら、好奇心。
さっさと出てこい、お前の出番だ好奇心。
ほら、この世界の文字の勉強だぞー。
なんでこんな時に限って引っ込み思案なんだこらー。
「始める」
「お、おう」
ようやく再起動した好奇心の背中を蹴って矢面に押し出しつつ、タバサの机に近づく。
「まずはこれから」
そう言ってタバサは、一番薄っぺらい本をぱらりと広げた。
隣に立って、それを覗き込む。
……うん、やっぱまだミミズののたくりに見えるな。
ところどころ何か見覚えがあるような形になって、それなりに文字っぽくは見えるけど。
こういう文字の書き方、何て言うんだっけ。楷書?
あと、蒼いサラサラの髪が鼻先にあって、なんだか甘い香りがただy――自重しろ煩悩オレ。
そしてサボんな好奇心ちゃんと働け。
というか今日はなんでこう挙動不審だ俺。
俺が死体に鞭打つように好奇心を捻り出すなかで、タバサの授業は始まった。
「これが、Аアー。これが、Бベー。これは、Вヴェー」
はて、音にして聞くと何となくどこかで聞いた気がするな。
文字そのものは殆ど初見なんだけど。はて。
総33文字の名前を教えてもらったところで、復唱する。
「――、Эエー、Юユー、Яヤー。……で、あってたよな?」
「あってる。次は、単語」
複数繋げて書かれた文字を指差して、その意味を一つ一つ丁寧に教えてくれた。
くれた、んだが。
「これは、"序文"。本文を始める前に綴る、前書きのこと」
とか、
「これは、"文明"。人道的で、合理的で、寛容な社会のこと」
とか、
「これは、"法律"。"文明"に生きる人のための、社会的な規律」
とか。
単語になると、さっきみたいな文字とは違って、日
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