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fate/vacant zero
禁断の果実
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は入ることが許されないらしい。

 ……それってつまりさ。



「ここに平民が侵入することは許されません。お引取りを」


 俺も入れない、ってことだよな?

 そう気付いたときには時既に遅く。

 二つ目の扉の辺りに仁王立った司書らしき女の人が、俺に杖を向けていた。


 タバサが一歩前に出て、口を開く。



「彼は、私の従者」

「なりません。お引取りを」


 司書の人は、タバサの言い分を切り捨てる。

 タバサの視線が、少し冷えた。



「問題ない。彼は魔法を使える」

「それはこの中に入る条件に値しません。
 ここに入る資格があるのは、貴族である証拠を持つ者のみ」


 司書の人は、タバサの提示した証拠を切り落とす。

 ……ちょっと、物理的にも空気が冷えた気がする。



「10分だけでいい」

「なりません」


 なんというか、これほど無遠慮にタバサの要求を切り捨てられるこの司書さんが、ちょっと凄いと思った。

 タバサが、手にした杖を――って、ちょっと待て!



「タバサ、流石にそれは拙いって」

「冗談」


 ならその手を下ろしてくれ。

 なんか今にも振り下ろされそうなほど高々上がってて怖いから。


 なんともしぶしぶした動きでタバサは杖を降ろすと、

「少し、ここで待ってて」

 そう言って、中へと駆けていった。



 それから数冊の本を持ってタバサが戻ってくるまでの5分ばかりの間、司書の人はずっと杖を俺に向けたままだった。


 目を逸らそうともしなかった辺り、職務に忠実な人なのかもしれないが。

 一つ目の扉から階段へ出るまでの間、そんな冷たい視線をずっと向けられ続けた俺の心境は、察してほしい。











 で、だ。



 正面。

 ついさっき俺たちがくぐった窓がある。


 左。

 壁にくっつけて置かれた、シンプルな造りの白いベッドがある。


 右。

 本棚二つ。


 それに満載になった大小様々な本。

 本棚の脇には、入りきらなかったらしい本が平積みになっている。


 後ろを振り向く。

 見慣れた、見知らぬ扉。

 その左手に、横の壁にくっついた机と、その上に無造作に積まれた本数冊。


 そして、椅子に座ってこっちを見ているタバサがいる。





 まあ、簡単に言うと。


 ここはタバサの部屋だ。





 うん、正直、好奇心の赴くままにここまでついてきた俺もどうかとは思う。


 でもね
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