禁断の果実
[3/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、自分を式の巫女役に選んでくれたのだ。
幼い頃の、友人に過ぎないはずの自分を。
ならば。
「わかりました。謹つつしんで拝命いたします」
その信頼には、応えなければならない。
老オスマンは柔らかく目を細めると、ルイズを暖かく見つめた。
「おお、引き受けてくれるか。
幼友達がこうして自らの手で祝福してくれるのじゃ。姫も喜ぶじゃろうて」
ちょうどその頃。
「ぅおぉおおおぉぉぉぉ……」
彼らの遥か足下。
デルフを背負い、シェルを片手に握り締め、タバサを両腕でしっかと抱えて、縦長の宝物庫を取り囲むように巡る螺旋状の階段を、才人は駆け昇っていた。
「頑張るねぇ、相棒」
ルイズが出て行った後もギトー先生の授業を受けていた才人は、終了の鐘と共に机を飛び越え、タバサの体を抱きかかえると、本塔の図書館へ爆走を開始したのだった。
「嬢ちゃん、あとどれぐらいだ?」
その所要時間が、3秒。
そして『風』の塔からここ、螺旋階段を登り始めるまでが40秒。
螺旋階段を登り始めて、そろそろ1分。
「約10周」
一応今回の目的は文字の『勉強』なのだが、溢れかえった好奇心と、以前は分からなかったギトー先生の『風』を確かに感じとれた事実とが、才人のテンションを一時的にHIGHにしているらしい。
昨夜のルイズの話を聞いた結果、自分でも魔法を使う感覚というヤツを掴んでみたくなったようだ。
あの話の内容からでもそういう思考が出来る辺り、流石というべきだろうか?
「到着」
腕の中に抱えたままのタバサが呟く。
俺はそこ、やや細長い踊り場で、足を止めた。
「ここが?」
タバサがこくりと頷き、呟く。
「左」
言われたとおり、くるりと左を振り向いてみる。
奥へと開け放たれた、大きく分厚い両開きの鋼の扉。
そこから、縦に細長い溝がびっしり入った壁に挟まれた通路が、4mメートルほど伸び。
そのど真ん中と最奥には、手前に開け放たれた、すぐそこのものと同じ造りの扉があった。
これが、図書館への入り口らしい。
「なんかここだけ、他の所と造りが違ってないか? 妙に物々しいっていうか」
「これでも足りない」
タバサがいつもより少し口数多く語るところによれば、この図書館には門外不出の秘伝書や、禁断の魔法薬のレシピ、果ては禁術指定を受けるようなタチの悪い魔法が載った魔術書なんかが眠っていて、貴族のマントを着用していない者
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ