禁断の果実
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はカラッポだった。
「ルイズ、今日の洗濯物はどうした?」
「もう、洗ったわよ」
……どうやら、昨日から続くルイズの変化は、まだ終わっていなかったらしい。
「そういや、なんか見慣れない服着てるな。
いつもの寝巻きはどうしたんだ?」
「一緒に洗濯しちゃったもの。他に着るものもないし」
あれ。
「お前、たしかドレスの類を大量に持ってなかったか?」
「アレはよそいきの服だもの」
そういうもんかね。
「ところで、その本なに? 見覚えがないんだけど」
「王室の秘宝よ。中身は白紙だけど」
ルイズの説明によると、どうやらお姫さまの結婚式で、詔みことのりとかいう祝辞しゅくじを述べる役割をお姫さま直々に任されたそうだ。
それで、その白紙の『国宝』を見ながら、俺が文字を勉強している間中ずっと祝いの言葉を考えていたらしい。
「でも、そう簡単にこういう言葉って出てこないのよね」
わたしこういうのは苦手だし、とルイズは溜め息を吐いた。
「まあ、一眠りして気分転換してみたらどうだ?
もう夜も遅いし、明日も授業あるだろ?」
ルイズは腕を組んでしばらく唸っていたが、やがて諦めたように目を伏せ、大きく息をついた。
「……そうね。まだ式まで一ヶ月もあるんだし、ゆっくり考えるわ」
そう言って、ルイズは毛布の中に沈んでいった。
それを見届けて、俺も"巣"の中で丸くなる。
今日は風呂桶を設置したり、文字を教わったり、風呂でタバサと密着したりと、体も頭も心も、もう余力が残ってない。
すぐにうとうとと夢の世界に潜り始め……、飛んできた枕に顔面を強打され、夢から一本釣りされた。
「なにすんだよ」
「いま投げた枕持ってこっち来なさい。ベッドで寝ていいって言ってるじゃないの」
なんか拗ねたみたいな声も飛んできた。
相変わらずルイズの異常は継続中だ。
いや、昨日の様子からすると、ただ単に心細くなっただけなんだろうケドさ。
なんて考えながら、ベッドの隅に潜り込んだ。
今はタバサの身体の名残が熱くて仕方が無い。
ほんと、今日のタバサはヤバかった。
普段の理知的な言動に似合わぬ、でも年相応な可愛らしい怖いモノ。
……どう考えてもオバケよりもあのバグベアーとかの方が怖いと思うんだけどなぁ。
ともかく、あのギャップの破壊力はヤバイ。
もう数秒でも保護欲が復活するのが遅れてたら、理性とか尊厳とかその他諸々のモラルの類がご臨終するところだった。
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