禁断の果実
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で左を見てみれば、タバサの顔がそこにある。
しかしこれはひょっとしてひょっとしなくても。
「もしかして、お前、幽霊とかダメなのか?」
こくりと、肩の上で頷くタバサ。
いかん、かわええ。
まあ、これで借り一つ返した、ってことにしとくか?
どっちかっていうと借りがさらに増えた気がするけど。
正直、この感触、堪たまりません。
「ま、まあ、俺の背中ぐらいで安心できるんなら好きに使ってくれ。借りは計画的に返していかないといけないしな」
緊張と恐怖をほぐすため、出来るだけ明るい声で冗談を交えた本音を語ったんだが。
こっくりと。
タバサは、どこまでも真剣に頷き返してきた。
おばけこわい、と呟きながら。
意外な弱点を露呈したタバサに抱きしめられること30分。
薪たきぎの火が消え、ぬるくなりはじめた湯から二人して上がり、滅茶苦茶に火照ほてった体を衣服に包んだ。
ナイロンパーカーは、半袖でも熱が篭って実に身体が熱い。
今度は先に脱いでくるか。
んで。
未だに震えるタバサを部屋まで送り届けた。
これも借りの返却の一環ということにされたわけだが。
きゅっと袖口をつまんで物音一つにびくびくしながら着いてくるタバサは、とても可愛らしかった。
ところで、こういうのは見つかると拙くないか。人の噂とか。
「かまわない」
そりゃどういう意味でですかタバサさん?
訊くのがちょっと怖いから訊かないけど。
まあ、そんな風にタバサを部屋まで送り届けて、二階下のルイズの部屋に帰ってくると。
「遅い」
とむくれたルイズが、顔をこちらに向けることなく言葉をかけてきた。
「あんた、こんな遅くまでいったいどこで何をやってたのよ?」
そういうルイズは、ベッドの上で見慣れない本を前にして腕を組んでいる。
「こっちの文字教わってたら、ちょっと熱中しすぎてこんな時間になっちまってたんだ。悪い」
その後、お風呂も入ってました、とは言わない。
タバサの名誉のためにも、俺の尊厳のためにも。
迂闊にいまあの肌の感触を思い返すと、理性が消し飛んで夜中に徘徊しかねないし。
さて、だいぶ遅くなっちまったが、これから洗濯だ。
風呂の残り湯を使うと、指がかじかまなくて済むだろうから。
そう雑念を振り切りながら洗濯物籠に近寄る。
「……あれ?」
されど、籠
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