禁断の果実
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と。
叫ぼうとしたところで、ふと気付いた。
何故かは知らんが、くっつけられたタバサの……背中?から、細かな振動が伝わってきている。
タバサが、震えている。
それで少し、野獣ほんのうの活動が収まった。
「……た、タバサ?」
「……」
返事が無い。
でも、なにやら気を張りつめているのが感覚で分かる。
首で100度、視線で80度をそれぞれ振り返り、タバサの様子を窺う。
タバサの横顔は、真剣な瞳で自分の正面をじっと睨みながら震えていた。
あと、何故か杖を釜の上に渡しており、両手はそれを握り締めてる。
鎖骨が、細い首筋が、うなじが、丸い肩が、目に見える全てが白く、艶やかに――、Consedi止まって Respicere振り向け。
全力で自己制御と自己暗示するために覚えたての魔法語ルーンを使ってみたが、その効果はしっかりと出たらしい。
使いどころを間違っているか?
いや、そんなことはない。
強制的にタバサと正反対に顔を向けなおしてのち、このタバサの体勢の意味を考えてみる。
真剣な視線。
構えられた杖。
震える体。
総合して考えるに、これは。
「……なあ、タバサ。ひょっとして今、敵か何かが近くにいたりしないか?」
「しない」
……あるぇー?
じゃあ、タバサはいったいなにを警戒してるんだ?
と、疑問符を10個程度浮かべたとき。
かたん、と微かな物音がして。
びくりと、タバサの体が跳ねた。
「……タバサ。今の音、聞こえたか?」
こくりと頷く気配がして、さらりと髪が俺のうなじを撫でていく。
くすぐってえ。
ことり。 びくり。
たんっ。 びくり。
「……何の音だろ?」
「わからない」
タバサの声は、若干震えている、ような気がする。
……んんん?
「……ひょっとしたら、幽霊だったり。な「やめて」」
間髪どころか言葉尻も入れさせずに、タバサは冗談を遮ってきた。
あと、体の前後を入れ替えてしがみついてもきた。
震えが少し大きくなった気がする。
うん、つるんとしててぺたっとしててふにゃふにゃしてるのが背中に感じられる。
どこが、とか、なにが、とか、どのように、なんてことは間違っても口にしない。
言ったが最後、理性いしきが途切れると思うから。
横目
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