日常の定義
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爆発音が派手だなと思っていた理由も、どうやらこれが原因らしい。
エンジンに使われていた油に、思いっきり失敗魔法が引火したのだ。
お蔭で、教室はいつにもまして無惨なことになっていた。
焼けた教室の机を取り替え、水浸しになった床を拭き上げ、至る所にこびりついた煤を取って。
全ての後始末が終わる頃には、辺りは夜となっていた。
最後まで手伝ってもらったタバサに、明日の放課、文字を教えてもらう約束を取り付けて別れたのがつい先ほど。
俺はルイズと部屋に戻るなり、どた、っと藁束の上へと転がった。
ルイズもベッドに座り込んだ。そろそろ、寝る時間なのだ。
一週間もあれば習性と言うヤツは身につくもので、俺は無意識の内に立ち上がっていた。
ルイズの着替えを用意するためにだ。
ったんだが。
ルイズもそれに合わせたように立ち上がると、足元からシーツを引っ剥がし、ベッドの上から吊るし始めた。
「な、なにしてんの?」
頬を染めたルイズは応えない。
そうしてベッドを覆い隠す即席のカーテンをこしらえてしまったルイズは、自分の足でクローゼットに向かう。
ぽかんとして俺が見つめる中、着替えを取り出したルイズは、カーテンの向こう側に引っ込んでしまった。
衣擦れの音が聞こえる。
ああ、そっか。
そうだったね。
俺は狼だったネ。
『いや、俺はそんな上等なもんじゃないぞ。
いいか、才人オレ。あんな清楚になったルイズに比べたら――』
安い挑発に乗っていきなり教室で爆発起こすヤツは清楚っていわない気がするが、比べたらなんだ絶望派オレ。
『――――――優しくなったルイズに比べたら、貴様なんか不細工なモグラに過ぎねえじゃないか』
そうか、俺はモグラか。
モグラがあんな成長途上にある女の子を着替えさせていいなんて法はねえよなぁ。
うん。
ルイズ、俺はモグラだ。
モグラの分際で一度ひん剥いちゃってゴメンナサイ。
悪気は無かったんだ。
正気に戻って欲しかっただけなんだヨ。
だから、もうそんなことはしないヨ、ルイズ。
安心していいヨ。
「おーい、相棒ー。帰ってこーい」
モグラは大人しく、丸まって寝ることにするヨ。
「おーい……」
この寝床の中から、モグラ、キミをずっと見守るヨ……。
「あれ、蒼い娘っこ」
ボクは……、え、タバサ?
こんな時間に? と首を上げて。
「……なんか知らんが重症だ
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