日常の定義
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前にルイズの部屋にあった本を軽く見てみた時は、ミミズの羅列にしか見えなかったしな。
「こっち?」
ぁ、いけね。
俺が異世界から来た、ってことは秘密にしないと……あれ?
ちょっと待てよ?
タバサになら、正直に言っても別に問題はないんじゃないか?
というか、そもそもなんで異世界から来たことを秘密にしてるんだっけ?
……ああ、思い出した。
ルイズにこれでもかってくらい説明したのに信じてもらえなかったから、説明するのが面倒になったんだっけか。
――さて、ここで問題なんだが。
今、目の前で首を傾げているちっさな少女。
借りを作りまくった相手であるタバサに、面倒なんていう理由をもってこのことについて沈黙を守り、嘘を教えることは、赦されることだろうか?
無論、否だ。
ていうか、俺自身がなんか恩を仇で返すみたいな気がして嫌だ。
まあ、信じてくれなけりゃその時はその時だ。
別にそれで困るわけでもないし、そもそもタバサは自分からこういうことを放言するタイプでは、確実に無い。
そこは断言してもいいと思うから、面倒なことにはならないと思う。
さて、それじゃあ……語ってみようか。
「違う世界の人間。そう」
タバサは軽く目を瞑つむると、それだけを返してきた。
「信じてくれるのか?」
「あなたが嘘をつく理由がない」
まあ、そうだけど。
自分が聞いても法螺と思いそうな話を信じてくれたらしいタバサは、そのまま俺をじっと見つめてくる。
「あなたは」
なんかどきどきと音がするんだが。なんだこの音。
耳元で鳴り響いてやかましいぞ。
「帰りたくないの?」
……へ?
「自分の家に……、お母さんのところに、帰りたくないの?」
そりゃ、帰りてえよ。
「じゃあ、どうして」
帰らないの? ってことだろうか。
帰れるもんならとっくに帰ってるよ。
「どうやって帰ればいいんだか、方法が見当もつかねえんだ」
「探せばいい」
「とりあえず学院長には聞いてみたけど、手掛かり皆無だったよ。
"破壊の杖"の入手経緯も偶然だったみたいだし」
「あ。……それで、本を?」
そうだよ。
まあ、魔法の知識を増やしておきたいってのがどっちかっていうと本音なんだけどな。
「わかった。協力する」
いいのか
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