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fate/vacant zero
日常の定義
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なった部屋の中、囁くような声と、金属と金属のぶつかり合う微かなカタカタという音がする。



「なんとも、難儀なこったね。相棒といい、ピンクの娘っこといい。その気になりゃあ、もっと気楽に生きられただろうに」


 呆れたような、面白がるような声。



「使い手の力。伝説の力。
 人には過ぎた力――って、こりゃオレっちが言えたことじゃねえか」


 きらりと、柄頭に嵌った緑色の宝玉を、月明かりが照らし出す。



「まったく、懐かしいねぇ。
 昔のお前さんたちを見てるような気がしたぜ、『華翼エレ』、『左手トーマ』」


 『運命の剣■■■■■』は、長年愛用した寝床に収まらなくなったその身を蒼い月光に晒しながら、独り声を発していた。



「今夜もいい月だね。
 アレから随分と経っちまったが、皆で守ったこの世界は、今日も綺麗だぜ」


 どこか寂しい感傷の声は、誰の耳にも届くことなく、闇に溶けていく。





 ――ねぇ、皆。冥府には、幸せなまま辿り着けた?





 微かな呟きの宛先を、誰も知らない。




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