日常の定義
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思う」
「そっか……、あんたは、『風』の魔法使いメイジの素質、あるのかもね」
……俺に?
「羨ましいな……、あんたと感覚が共有できたら、それを感じられたかもしれないのに……」
なんだか、申し分けなくなってきた。
「そうだ、もう一つ謝らせて」
……なんだよ?
「ごめんね……、ずっと、冷たくしちゃって。
わたし、あんたに嫉妬してた。わたしより早く、魔法を使ったあんたに……」
……逐瘴ちくしょう。
そんな風に言われちゃ、拗ねてた自分を殴りたくなっちまうじゃねえか。
「……気にすんなよ」
こんなことしか言えない自分も。
「わたし、せめて、みんなができることを、普通にできるようになりたい。
じゃないと、わたし、自分を好きになれない。
……そんな気が、するから」
……なんて言って慰めてやりゃあいいんだろうか。
数分の間が空いて、それを考えに考えた結果。
俺の思いついた言葉は、これぐらいだった。
「考え方を、ちょっと捻ひねってみたらどうだ?」
返事は無い。
「お前は、ワルドの偽者を、その魔法でぶっ倒したじゃねえか。
ホントに"魔法"の才能なかったら、そんなマネ出来やしねえって」
でも、関係ない。
「だからさ、お前は失敗してるんじゃなくて――」
俺は俺の言っておきたいことを言うだけだ。
「――『爆発』っていう魔法を、無理矢理に成功させちまってるんじゃねえかって思うんだ」
返事は無い。
「お前は、魔法を使えてるよ。ルイズ」
代わりに、寝息が聞こえてきた。
……さっきの何言おうか考えてる間に眠っちまったのかね。
まあ、それならそれでもいいさ、と。
俺は目を閉じた。
体の疲れが意識を休眠に誘うまで、大した時間は掛からなかった。
だから、才人は。
「なんの慰めにもなってないわよ。
呪文を唱えて、その魔法本来の効果が発揮されない。
それが、失敗じゃなくて何だっていうのよ……?」
そう呟くルイズの声も、寂しそうな、でも確かに微笑んだその顔も、その意識に感じることはなかった。
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誰も動くものが居なく
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