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fate/vacant zero
日常の定義
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「そうみたいだな。俺には、こっちの伝説なんてのはよくわかんねえけど。
 そこのデルフも、その『神の左手ガンダールヴ』が使ってた剣だとさ」


「それ、ホント?」

「まあ、目の前で変形までされちゃあな……、それこそ、嘘をつく意味もねえだろ?」


 なんかデルフの苦笑が聞こえた気がするんだが気のせいか。



「そっちじゃなくて、あんたの"印"よ」

「まあ、本当なんだろうな。
 じゃなけりゃ、ド素人の俺があんな風に武器を使いこなせたりもしねえだろうし」


 シェルの奴も、俺の体を操れてただろうし。



「だったら、どうしてわたしは魔法ができないの?
 あんたが伝説の使い魔なのに、どうしてわたしは『落ちこぼれゼロ』のルイズなのかしら」


 んなこと、俺に聞かれても困る。



「あのね、わたしね、立派な魔法使いメイジになりたいの。
 人と違うほど、強くなれなくたっていい。
 ただ、呪文をきちんと使いこなせるようになれれば、それでいいの。
 得意な系統もわからないまま、どんな呪文を唱えても失敗だなんてイヤ」


 昼前の騒ぎを思い返す。

 ルイズは、いつも通りに失敗していた。



「小さい頃から、わたし、ダメだって言われてた。
 お父さまもお母さまも、わたしには何にも期待してくれなかった。
 クラスメイトにも馬鹿にされて。『ゼロ』なんて二つ名までついて……。

 わたし、得意な系統がないの。ほんとに、才能なんて無いんだわ」


 でも、とアルビオンでの出来事を思い返す。

 ワルドを攻撃した時も、確か失敗の爆発だった気がする。

 それでワルドの『偏在』をぶっ倒したわけだが。


 あれでも、才能は無いんだろうか?



「自分で、分かってるの。呪文唱えても、なんだかぎこちないのよ。
 色んな先生や、お姉さまや、お母さまが言ってたの。
 得意な系統の呪文を唱えると、体の中に何かが生まれて、それが体の中を廻る感じがするんだって」


 ……その気配を、俺は知っている気がした。

 アレは、いつのことだっただろう?



「それは拍子リズムになって、その廻りが最高潮になった時、呪文は完成するんだって。
 だから、"詠"唱っていうんだって。……そんなこと、一度もないもの」


 そう、確かアレは――



「ねえ、あんたはそんな感覚、感じたことはある?」



 へぇ!?


「ぁ、ああ。
 確か、フーケと戦ったとき、シェルが叫ぶ呪文を繰り返した時に、少しだけ」


「どの系統の呪文だった?」


 えっと、確か……。



「揺らぎを飛ばした時、だったと
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