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fate/vacant zero
日常の定義
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んなゴーレム出現させるなんて、質量保存とやらはいったいどうなってんだ。



「錬金絡みだけは異常に上手いのよね、あいつ。
 それ以外は並もいいとこなのに……、まあいいわ。

 それで、あんたはその世界で何してたの?」



「高校生」

「コォコゥシェ?」


 惜しい。



「まあ、お前らのやってることとかわらねえよ。
 学生だ、学生。勉強するのが仕事、ってヤツ」



「それで、大きくなったら何になるの?」


 ……やっぱ今日のルイズはなんかヘンだな。

 質問攻めなんて珍しい。



「そうだな。
 ……あー、と。サラリーマン、になるのか? 普通だったら」

「なんで疑問系なの? ……それで、サラリーマンってなに?」


「まあ、色々と働いて給料貰う仕事のこと」

「ふぅん。よくわかんないけど、あんたはそれになりたいの?」


 どうだろう。



 将来の進路なんて、俺は自慢じゃないけどマトモには考えたことなかった気がする。


 史学者、盗掘屋トレジャーハンター、冒険家。

 歴史を、遺物を、未知を探す仕事。

 それは夢に過ぎないと、自覚している俺も心の裏にいて。


 現実として、そんな夢へと走り出したりはしなかった。

 誰にも分からぬ過去なんて、俺が知る前に解き明かされて。

 誰もが探した財宝を、可愛がってくれた両親を犠牲にしてまで探しにいくほど俺は非情には成りきれず。

 誰も知らない世界の謎なんて、凡人の俺には見えもしない。



 退屈を抑えて学校に通い。

 退屈を忍んでネットを巡り。

 退屈を堪えて毎日を過ごして。


 刺激を求め、好きなように遊び。

 ずっとこんな毎日が続いていくんだろうなと思いながら、怠惰に生きてきたわけだ。



 それでも。



「多分、なりたくなかったと思う」

「どうして?」


「皆と同じことをして、皆と同じように生きて、皆と同じものを楽しんで。
 そんなこと、俺はやりたいとは思えなかった」



 そこに、新しいことがないから。

 そこに、"俺"が居られないから。

 そこから俺が居なくなっても、誰も気付かなくなってしまいそうで。



 それだけは、どうしようもなく嫌だった。



「なら、あんたの夢はもう叶っちゃったのかしら」

「へ?」


 意識が思考から現実に帰された。



「あのワルドが言ってたわ。あんたは伝説の使い魔だって。
 あんたの手の甲にあらわれたのは『神の盾ガンダールヴ』の印だって」


 ――ああ。


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