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fate/vacant zero
日常の定義
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「で、なによ?」

「ああ、その。
 ごめんな、この前は。お前の確認無く、下着姿まで剥いちまって」


 ルイズは答えない。



「俺、アルビオンを脱出する少し前に、ウェールズ皇太子に約束してきたんだ」

「約束?」


「ああ。俺の信じるものを――」


 背後のルイズの気配を、感覚で掴み取る。



「俺の守りたいものを――」


 一瞬だけ、あの冷たくなっていく体の感触を思い起こす。



(――王子さまの護りたかったものを)



 口に出さずに意識で想い、お姫さまの涙付きの笑顔が、閉じた瞼の裏を過ぎった。



「守り抜くって、誓ってきたんだ。王子さまと別れる直前に」


 ルイズは、口を噤つぐんでいる。



「でも敵から守る前に、まずは俺の欲望から守らねえと、ちゃんと守ってるって言えねえからな」


 顔だけ、目線だけでルイズの方を見やりながら、心の底から声を挙げる。



「だから、ごめん。謝ります」


「……いいわよ、もう。そのことは」



 わたしだって、そんなの覚えてなかったわよ。


 そんな小さな呟きが耳に届いた。



「……わたしも、あんたに謝らなきゃ」


 ……あれ、じゃあなんでこう態度が……。



「ごめんね。勝手に召喚したりして」


 いいから、自重しろ好奇心。



「いいさ。
 こっちの世界に連れて来られて腹も立ったし、痛いことや嫌なことも随分あったけど――」


 ルイズは変わった。



「――面白いって思えること、楽しいと思えることだって、山みたいにあったからな。
 とびっきりの夢の世界ファンタジーに連れて来てくれたこと、今は感謝してるよ」


 それで充分だろ?



「ごめんね……。きちんと帰る方法、探すから。
 今はどう探していいかも、わかんないけど、きっと、見つけ出すから」


 少しだけ震えるルイズの声に、俺は気付かないフリをした。



「ありがとう」


 そう答えるだけにしておいた。



 ややあって。



「ねえ」


 いつも通りの・・・・・・ルイズが、もぞもぞと動きながら話しかけてきた。



「あんたの居た世界って……、魔法使いメイジがいないのよね」

「ああ」


「月も、一つしかないのよね」

「ないな」


「ヘンなの」


「俺に言わせてもらえりゃ、こっちの世界の方がヘンだぞ。
 だいたい魔法ってなんだよ。
 物理法則スルーってレベルじゃねえぞ。特にギーシュ」


 花びら一枚の青銅からあ
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