第三部
古い凧歌
亡国なきくにからの便たより
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兵士?を引きつれ、シルフィードは地面に降り立った。
その途端、周りを同じような獣にのった兵士たちに取り囲まれ、ワルドの持っていたのと同じ、剣みたいな杖を一斉に突きつけられた。
そんな兵士の中、いかめしいヒゲ面をしたごつい体の男――さっき上空でも怒鳴っていた男が、大声で叫んできた。
「杖を捨てろ!」
と。
……あれ、ここってトリステインで合ってるよな?
こくりとタバサが頷く。
「でも、宮廷」
そう言って、タバサは杖を放った。
後ろの三人を見やると、皆して同じように、不満そうな顔で杖を地面に投げていた。
デルフは杖じゃないけど、捨てとくべきか?と疑問に思ったが、柄に手を掛ける前にごつい男が言葉を続けた。
「現在、王宮の上空は飛行禁止だ。触れを知らんのか?」
しらんがな。
そもそもここ何日かはトリステインにも居なかったし、と心で突っ込む。
「飛行禁止、ね。
タバサ、知ってたか?」
ふるふると首が横に振られる。
だよな。知ってたら手前で降りて歩くだろ。
後ろを振り返ってみれば、ちょうどルイズがキュルケの腕の中から地面に飛び降りるところだった。
とん、と軽やかな着地を決めたルイズは、頭二つぐらい違う男に向かって毅然きぜんと名乗る。
「わたしはラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズです。姫殿下にお取次ぎ願います」
ふむ、と男は顎ひげをなぞると、ルイズを見やった。
数秒が経ち、男は挙げていた杖を下ろした。
「ラ・ヴァリエール公の三女とな」
「いかにも」
ルイズは胸を張り、男の目を真っ向から見据えた。
それを見た男は片手を挙げると、手のひらを地面に向けて軽く振る。
それを合図に他の兵士たちも杖を下ろした。
どうも、この男が隊長格らしい。
「なるほど、目元が母君によく似ておられる。では、用件を伺おう」
首を横に振るルイズ。
「それは……、言えません。密命なのです」
「それでは、殿下に取り次ぐわけにはいかぬ。
用件も確かめずに取り次いでしまっては、何のための厳戒態勢やら解らなくなってしまうのでな」
そう困った声で言う隊長(仮)だけどさ。
「密命なんだから、こんなに人が集まってる状態で教えるわけにも行かんだろうに……」
ギロリと睨まれた。うっわすげえ迫力。
隊長(仮)の視線は顔を見て、爪先まで下り、また顔に戻って……、いきなり見開かれた。
怖ぇぞ、おい。
「無礼
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