第11話 協定違反
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財団Xの職員は握手しようと手を差し出す。
リュドーは何をしようとしているのかが分からなかった。
「これはそちらの世界の儀式か何かですか?」
「いえ、儀式というほどのものではないのですが……これは握手というものです。お互いの手を握ることで友好を深めようという私達の世界の習慣です」
「ほう、いい習慣ですね」
両者共に握手して円満ムードで交渉は終わった。
だがリュドーは分かっていなかった。
外国製の安くて質のいい製品が一旦、市場に入れば質の悪い自国製を誰も買わなくなるということを―。
そしてそれは自国経済の"侵略"行為であるということを―。
亜人種の奴隷を買ったのも研究目的とは別に帝国の労働力を少しでも減らすという"悪意"があることを―
数年後、いや早くて数ヶ月後にはショッカー製の安くて質の良い製品が帝国の市場を席巻するだろう。そしてその時には帝国製の製品には誰も見向きもしなくなってしまう上に奴隷という貴重な労働力が減り、帝国の経済は壊滅的な打撃を負うことになる。
ショッカーは密かに帝国を内部から崩壊させようと暗躍するのだった。
「これより……オ・ンドゥルゴ基地へ帰還する」
千堂の第1小隊はレレイらと共に装甲機動車に乗り、イタリカからアルヌスを周回してオ・ンドゥルゴに帰投する。
しかし、その道中で加頭が双眼鏡を取り出して叫んだ。
「騎馬を数騎発見!こちらに向かってきます!」
「何だと?」
千堂は目を凝らして見る。金髪と銀髪の女騎士を先頭に騎馬隊がこちらに向かってくる。
「姫様の言っていた騎士団か……遅いな、中世レベルなら仕方ないか…」
そう言っている間に金髪と銀髪の騎士達が高機動車に近づく。
「貴様らどこから来てどこへ向かう?」
金髪の女騎士…ボーゼスが千堂に尋ねる。千堂は車から降りて答える。
「イタリカから来て、オ・ンドゥルゴの丘へ帰る」
「オ・ンドゥルゴの丘だと!?貴様ら異世界の敵か!!」
銀髪の騎士……パナシュが叫ぶと後ろに控えていた女騎士達が剣を抜く。
「降伏しなさい!」
パナシュは千堂の首筋に剣を向けるが千堂は臆することなく言う。
「……これはピニャ殿下並びにイタリカ政府と結んだ協定の違反行為と受け取るがそれでもいいのか?」
「協定だと!?姫様が敵と協定など結ぶものか!!!」
「どうやら知らないようですね。いいですか、殿下はわれわ―」
千堂が言いかけた時に
「ええい、黙りなさい!!」
ボーゼスは千堂に殴りつけ
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