第11話 協定違反
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い叩かれてしまう。
そう思うとゾッとした。彼は恐る恐る手渡された目録を見る。
実際はその反対だった。
ショッカーの輸出品が"超"低価格だったのだ。
リュドーは驚きの余り、声を上げそうになった。それほどショッカー側の品々が安かったのだ。
(だ……だがこれほど安いということはきっと粗悪な物に違いない!騙されるな!)
リュドーはそう心に言い聞かせる。
「それとこちらは商品の見本なのですが……」
そう言うと職員は大きめのスーツケースを開けてリュドーに見せる。
中にはショッカーが特別に製造した帝国製よりもずっと精巧な短剣、象牙、香辛料、木材やろうそく、そして衣服等の布製品などありとあらゆるものがズラリと入っていた。職員の男達はそれらの見本を机の上に並べていく。
「こっ……これは……!!」
(なんて精巧なんだ!!短剣なんかまるで鏡のようじゃないか!?それに衣服は丈夫だし、象牙は今まで見たことがないほど美しい!)
特にリュドーの目を引いたのは香辛料だった。
文明レベルが中世程度のこの世界では香辛料は"超"どころか"超超"高級品である。それを『"超"低価格』でショッカーから購入し、『低価格』で市場に流す。それだけでどれだけの莫大な利益が見込めるかは想像に難くない。
(これはすごい!かなり大きな商機だぞ!!)
リュドーの商人としての勘が彼にそう告げる。
「して…我々は何を帝国から"輸入"し、ショッカーに"輸出"すればいいのですか?」
「奴隷を売って頂きたい。できるだけ亜人種をお願いします。敵である帝国が我々に売ってくれるとは思えませんからリュドー氏の名義で仕入れ、それを我々に売って頂けるようお願いします」
リュドーはまた頭をかしげた。何故、ショッカーが亜人の奴隷を欲しがるのか分からなかった。
しかし職員の次の言葉でその疑問も吹き飛ぶ。
「男女問わず亜人種の奴隷なら1人につき20シンク金貨でどうでしょう?」
「20シンク金貨!?!?」
リュドーは驚きの余り、椅子から転げ落ちた。
転げ落ちるのも無理はない。前回も書いたが銀貨5枚で1日暮らせるこの世界で奴隷1人に20シンク金貨は相場の数倍以上の値であるからだ。それも1人につきである。"超"低価格で高品質の品々を仕入れられる上、奴隷を"超"高価格で買ってもらえる。こんなにおいしい話はないし、それに飛びつかないほどリュドーも馬鹿ではなかった。
「分かりました。この商談、喜んでお受けしましょう!」
「ありがとうございます。これからも末永いお付き合いをしていきましょう」
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