中編
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はそんな奴ばっかりなんだ。
「何やってんだ?」
ふいに背後で男の声がした。
「コロマルさんが人間の食べ物を食べたいと言ったので、冷蔵庫にあった作り置きをあげたら、倒れました。」
「おいおい、やたらなものを食わせるんじゃねーぞ。人間と同じ食べものは、犬には体に毒ってこともあるんだからな。」
男が慌てた口調で注意した。
(冗談じゃない。アレは犬だけではなくて、人間も含めた全ての生き物にとって毒だ!)
俺は心の中でツッコミを入れた。
長身の男がしゃがんでのぞき込んでくる。
「大丈夫か? コロ・・・」
強面の顔だが、心配そうな表情を浮かべている。。
(また大丈夫か聞かれた・・・。全然大丈夫じゃねーよ。くそっ!)
あらためて悲しくなってきた。
俺はぐったりしたまま『はらへったなあ・・・愛屋の肉丼が食いてえ・・・』と洩らしたが、その声は情けないクゥーンという鳴き声にしかならなかった。
「空腹でたまらないと言っているであります。」
アイギスが律儀に俺の言葉を伝える。
「ここにエサが出てるじゃないか。」男が言った。
「コロマルさんは昨夜まで人間だったけど、目がさめたら犬だったので、ドッグフードは食べられないそうです。」
いや、アイギスさん、その言い方じゃ、わけわかんないよ。
「ああ? 何言ってんだ? 昨日も今日も犬だろうが。しかも犬なのにドッグフードが食えないってのはどういうこった。」
案の定、男が理解できないと言った様子で聞き返す。
「元人間としてのプライドがあるそうです。」
「なんだそりゃ、昨日やられてからおかしくなっちまったんじゃねえか?」
男が呆れたような声を出した。
「ええと・・・私にもよくわかりません。ただ肉丼というものが食べたいそうであります。真田さんがよく『うみうし』という店で買ってくる、あれのことでしょうか?」
男はため息をつくと、「ちょっと待ってろ」と言ってキッチンに入っていった。
『昨日やられてから・・・っていうのはどういう意味だい?』
俺は男が言っていたことが気になって、アイギスさんに聞いてみた。
「昨日、コロマルさんはシャドウの攻撃を受けて気を失いました。怪我はなかったようですし、気が付いてからは何とか歩いてきたようなので、大丈夫かと判断したのですが・・・もしかすると脳に障害が残ったのかもしれません。」
『それで、みんな「大丈夫か・・」って聞いてくるのか・・・って、あれ?・・・今シャドウにやられたって言った?』
俺は急に体を起こすと、アイギスさんに向き直った。
「はい。コロマルさんは、シャドウとの戦闘で奇妙な精神攻撃を受けたであります。」
『えっ・・・シャドウってあれだよな。テレビの中にいる怪物。』
「テレビ番組ではありません。」
『テレビの中っていうのはそういう意味じゃなくて・・
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