前編
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偵王子の白鐘直斗がテレビの中に入れられたんで、救出の為に「秘密結社改造ラボ」に突入したんだ。途中、真っ赤なロボットみたいな強敵と戦い、俺は相手の攻撃をかわしそこなって・・・それで・・・どうしたんだっけ?)
そこからがどうしても思い出せない。どうして犬なんかになっているのか、わけが分からない。
(・・・もしかして・・・死んだ?)
ふっと頭に浮かんでくる。
(死んで・・・転生した?)
どんどん嫌な考えになってくる。
そこから先は考えたくなかったが、思考がとまらない。
(・・・それで犬に?)
まさか、と思って自分の体を何度確認しても、犬になっているという事実は覆らなかった。
どれだけの間、茫然としていただろう。放心状態で目を泳がせていて、ふと目に入った扉を「トイレかな?」と思ったのをきっかけに、次第に周りの様子に目が行きだした。
(個人の家とも思えないし、ここはどういう場所なんだろう?)
試しに歩いてみる。最初は違和感があったが、次第に慣れてきたのか、自然に四つ足で歩けるようになってきた。
男の子が出て行ったドアの横には、お店にあるような受付カウンターがある。ドアには鍵がかかっているようで、犬が外に出られるような出口も見当たらなかった。今はこの建物から出られそうにない。
カウンターの正面の広いスペースにはソファーセットとテレビが置かれている。その向こうには食堂のような大きなテーブルにイスが並んでいる。
(お店・・・じゃないな。ホテルっぽいけど、どこにも何の案内表示も出てないし・・・何かの施設なのかもしれないな。)
奥の階段も上ってみた。
2階に上がったところには少し広いスペースがあり、イスと自販機が置いてあった。のどが渇いていたが、犬では自販機を使えない。
廊下の奥に進んでみると個室らしきドアが並んでいる。
(・・・寮・・・とかかもしれないな。)
さらに上の階に上がってみたが、同じような構造だ。まだ上もあるようだが、たぶん同じだろう。
ため息が漏れる。
(さて、どうしよう・・・まさか、このままずっと犬ってことはないよなあ。もしそうだとすると、犬の寿命ってどのくらい? 長くて20年くらいかな? ・・・となると、俺、あと数年で死んじゃうんじゃないの・・・。まあ、あの戦闘でもう死んじゃってるのかもしれないんだけど・・・。それに犬のまま長生きするのも辛そうだし・・・。)
考えれば考えるほど気が滅入ってくる。
(いかん、いかん。元に戻れないと決まったわけじゃないし・・・どんな時でもポジティブに考えないと・・・)
慌てて、気を取り直した。
(何か前向きなことを考えよう・・・そういえば腹が減ったな。)
いや、実はずっと空腹ではあったのだが、あまりの衝撃にそのことが気になっていなかったのだ。
(犬でも腹はへるんだなあ。・・・当
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