前編
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床についた状態で上半身を起こした。
周りを見回すと、そこは見たことの無い部屋だった。ホテルか何かのロビーのような場所だ。
しかし、何かがおかしい。目の前にソファーセットが見えているが、サイズが妙に大きいのだ。
「コロマル、大丈夫か?」
首をかしげていると、ふいに声をかけられた。
(コロマル?・・・大丈夫って何が?・・・)
振り向くと小学生くらいの男の子がいた。
しかし、やはり妙にサイズが大きい。というより、こちらの体が縮んだような感覚だ。
俺はその子に『ここはどこかな?』と聞くつもりだったが、口から出てきたのは「ワン!」という声だった。
あっけにとられていると、男の子がいきなり「ヨシヨシ」と言いながら、俺の頭をわしわしと撫でてくる。そして目の前にドッグフードの入った皿が置かれた。
(なんだこれ?)
しばらくそれを見つめた俺は、急に腹が立ってきて「犬じゃねーんだから!」と声を上げた・・・つもりだったが、口からは「ワオーン!」と声が出た。
えっ・・・??
あらためて自分の体を見回す。両手が犬の前足のようになっている。振り向いてみると、白い毛におおわれた裸の体が見える。背後に尻尾が揺れている。
犬・・・・????
・・・驚愕!!!!
『なんじゃこりゃー!犬じゃねーか!!』
俺が叫ぶ声は、そのまま犬の遠吠えになった。
いきなり頭をペシッと叩かれる。
「こら、こんなとこで吠えるんじゃない。」
男の子に叱りつけられたが、こっちはパニック状態でそれどころではない。
「僕も、もう学校に行かなきゃいけないんだから・・・大人しくしてろよ。」
彼はそう言うと、走ってドアの方に駆けていく。背中にランドセルが揺れている。
俺は慌てて追いかけようとして、バランスを崩して転倒してしまった。どうも体の感覚がおかしい。
(犬の体で人間のように立ち上がろうとするから、うまく体が動かないんだ。)と気づいた。
そこで(犬だ。俺は犬だ。)と自分に言い聞かせながら、体を起こしてみる。
何とか四つん這いで立ち上がった時には、もう誰もいなかった。
しばらく茫然としたまま立ちすくんだが、とりあえずじっくり考えてみて、頭の中を整理することにした。
(えーと、ちょっと待てよ・・・俺は花村陽介。八十稲葉高等学校の二年生。ジュネス八十稲葉店の店長の息子で、ペルソナ能力を持つ自称特別捜査隊の一員。・・・そうだよな。)
記憶が一気に戻ってくる。
俺は仲間とともに、八十稲葉で起きた殺人事件と、次々起きる誘拐事件を追っていた。
誘拐された人はテレビの中に落とされる。そこは異常な世界で、早く助け出さなければ被害者は死んでしまう。俺たちは身に着けたペルソナ能力で、テレビの中に巣くう怪物「シャドウ」と戦い、そして被害者を救出し続けた。
(あの日、探
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