三十五 かわき
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
こそ、死をなにより恐れ、死ねば全てがそこで終わりという考えに至った。
よって、老いや寿命と言った限界を超越すべく『不老不死』の研究に没頭する。
全ての術を知るためには長い時間が必要だと考える大蛇丸の根底には、いずれ、どこかで会うかもしれない生まれ変わった両親への想いもあったのかもしれない。
自分の器はこの身体でも木ノ葉でもないと、必死で止めようとする自来也の行動を一笑に付した大蛇丸の脳裏には、かつて両親の墓前で拾った再生と幸運の象徴が常にあった。
己は小さな器に納まるべきではない。
蛇のように脱皮し、再生するのだ。
器を脱ぎ捨て、全てを手に入れる。
その決意を胸に、木ノ葉を抜けた大蛇丸は、しかしながら、うちはイタチの力を垣間見て、自分は井の中の蛙だと思い知る。三忍と称される己が惨めに思え、イタチの身体を手に入れようとするも、その瞳術の前に完敗した。
だから、焦がれた。うちは一族の血を。
写輪眼を持つ、うちはサスケを。
そして……────決して届かぬ高みに既に座している、うずまきナルトを欲した。
ナルトを初めて見た瞬間の大蛇丸の衝撃と言ったら、言葉では言い尽くせない。
全ての術を知る。
永い時を経なければ辿り着けぬ理想を、うずまきナルトはまさにその身で体現していた。
だから大蛇丸は、うちはイタチ以上にナルトに執着し、そしてその力に溺れた。
ナルトの計り知れない強さを垣間見るたびに、大蛇丸は酷く羨望し、渇望した。
『木ノ葉崩し』にて、師である猿飛ヒルゼンによって封じられた【屍鬼封尽】。
その後遺症で自らの肉体が限界を来たしても、他の人間の肉体を奪って転生しても、その渇きは癒えなかった。
けれど同時に、うちはイタチ以上の力を持つナルトには、どんな手段を使っても敵わないと心の底から理解もしていた。
だから、せめてイタチの弟であるサスケに、大蛇丸は己の未来を見たのだ。
「我慢…我慢よ…」
転生し、新たな肉体になったとしても、以前のように術を上手く扱えない。
その歯痒さから、大蛇丸は日々、鬱屈した思いを抱いていた。
信頼できる部下────薬師カブトに、己の肉体を調整するように命じているものの、大きな術を使えば疲労はかなり大きい。
特に今は、木ノ葉の忍びと対戦し、九尾化した波風ナルと闘ったばかり。
「もう少し…もう少しで…」
更に、発動させた【八岐の術】によって、チャクラを根こそぎ持っていかれた。
大蛇丸は喉が渇いていた。酷く、かわいていた。
「我慢…がまん…」
アジトに戻り、戦闘で興奮した我が身を落ち着かせるも、大蛇丸の蛇の如き双眸は無意識に、サスケの居場所を捜し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ