疾走編
第二十四話 大事件かも
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内で最初の何かの兆候を見つけた訳だ。それで我々に警戒するように、と警告を発してくれたのだ。我が艦隊の初の哨戒任務だ、齟齬があってはならん。それで正規の手順で報告してくれた、という訳だ。艦隊の錬成訓練の時はなかっただろう?」
「確かに…ありませんでした」
「訓練で想定として見つかる物を見つけて報告して、それに対して処置をするのと、実際に処置をするのでは全然緊張の度合いが変わってくる。艦隊はビーコンを見つけるためだけに訓練しているのではないし、ビーコンだろうが敵艦隊だろうが、発見、報告、対処。やることは同じ。大尉、今は何時だ?」
「一八〇五です」
「そうだな。ビーコン一つに実際に対処するのに約四時間かかっている。これが訓練だと一時間で行わなくてはならない。私が提督に最低でも一時間、と言ったのはそういう事だ。何故一時間なのかは調べても分からなかったがね。訓練だけでは実際は分からない。実際にやってみるしかないのだ」
「はい」
「実際にかかる時間が判れば、それを基準に物事を考える事が出来る。分艦隊司令のお二人に、何でもいいから異状らしきものがあれば報告をあげて下さい、とお願いしておいたんだ。提督の許可も得ている。報告の内容がたまたまガイドビーコンだっただけだ」
提督の許可も得ている?何の為だ?
「分からないかね?艦橋の雰囲気が報告が上がる前とは全然変わっているだろう?」
「…皆、少し緊張しているように見えます」
「だろう?たとえそれが普段は気にしないガイドビーコンであっても、それが分艦隊から報告が上がれば話は別だ。兆候として報告されているのだから、それに対しては真摯に対応せねばならん。やるべきはキチンとこなして、休む。オンとオフをきちんと切り替えねば、大所帯はうまくいかないんだ」
「ありがとうございます、大佐……提督、小官も特にありません」
「そうか。ではこのまま調査と哨戒を続行する。貴官等も交代で休みたまえ。儂も自室に戻るとするよ」
特に何もない…。
何もないのかなあ。あちこち遭遇戦をやってる最中であれば、ガイドビーコンがあろうが無かろうが確かに誰も気にしないだろう。でもなあ…。
いちいち止まってられないのも分かるし、先行している分艦隊から続報がない以上は問題なしでもいいんだろうが…。皆本当に疑問に思わないのだろうか?はあそんなものなのですね、と納得してしまうのか?
「ウィンチェスター、二一〇〇時まで頼む。二一〇〇時からはイエイツ、二四〇〇時からは私だ」
「了解いたしました」
シェルビー大佐とイエイツ少佐が何やらぶつぶつ言いながら艦橋から退いていく。
俺を除いて司令部の皆が艦橋から居なくなった。ということはこの約三時間、この艦隊は俺の指揮下にあるという事か。ふむ…旗艦艦長はテデスキ大佐。何かあったら大佐から報告
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