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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第13節「大野兄弟とザババの少女」
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今回はいったいどういう用件で? まさか、世間話をしにってわけじゃないんだろう?」
『ああ、そのことなんだが……今、そっちに翼ちゃんと翔は居ないな?』
「この時間は学校だからな。明日の学祭へと向けて、準備を進めているはずだ」
『そうか。明日は学祭なのか……。見に行ってやれないのが残念だが、そこは慎次くんに任せるとして、だ』

昔から翼と翔を可愛がっていた九皐は、学祭と聞いて口元を綻ばせる。
だが、次の瞬間には表情を引き締め、本題へと移った。

『最近、風鳴訃堂(ふどう)は大層機嫌が悪いらしい』
「それは……なんとも……」

弦十郎の表情が曇り、九皐は溜息を吐く。

風鳴訃堂……弦十郎や九皐、八紘の父親にして翼や翔の祖父。二課の前身、特務諜報組織『風鳴機関』の初代司令官であり、元特異災害対策機動部二課司令。
護国の鬼と称される通りの苛烈な性格であり、国を護るという名目の元、外道な手段さえ手段を厭わないそのやり方は、息子達どころか孫の翔からも嫌悪されている男である。

二課設立に前後してイチイバルを紛失したことから引責辞任したことで、その座は弦十郎へと引き継がれた。
今思えばそれもフィーネの策略の一つだったのだろう。それが幸いしているのは、訃堂を知る者達にとってはありがたい偶然なのかもしれない。

その風鳴訃堂が不機嫌、という事実は息子達にとっては間違いなく頭痛の種だろう。
現場に居ない立場でありながら耳が早く、権力がある上に高圧的。そんな父親から理不尽な雷が落ちるまで秒読みだというのだから。

『先の防衛大臣暗殺にシンフォギアの流出。そして例のテロ組織を未だに逃し続けてしまっている現状……。このままいくと、いずれ風鳴機関を動かして自ら出張りかねない……俺はそう見ている』
「あの子達には聞かせられん話だな。余計なプレッシャーを与えるわけにはいかん」
『ああ。あちらには俺が何とか口利きしておく。だから弦、お前はお前達に出来る最善を尽くす事に専念してくれ』
「すまねぇ、兄貴……」
『気にするな。ノーチラスはあらゆる海を踏破する、自由の証だ。それに乗るお前達を縛らせたりなどするものか』

風鳴家の中でも、弦十郎に次ぐ程に遊びの利く人間。弟に与えた艦に大海原への夢を、漢の浪漫を詰め込んだ彼は、自由を何より愛する男だ。
その頼もしい笑みが、弦十郎にはとても嬉しかった。

『そろそろ切るぞ。翼ちゃんと翔によろしくな。また休暇が取れたら、ドライブでも行こうと伝えてくれ』
「ああ。もしかしたらその時は、響くんも付いて来るかもしれんぞ」
『響くん? ……って、立花響か!? ガングニール装者の!? おい弦、まさかその子……』
「それは次に本人と顔を合わせた時、直接聞いてみるといい」
『なるほど。八紘の兄貴が聞いた
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