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曇天に哭く修羅
第二部
折れた心
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決め手になった。彼女と紫闇(あなた)を殺し、私も死ぬ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


語り終えたレックスは人形を動かす。

再び紫闇と《クリス・ネバーエンド》に対して攻撃を仕掛けていく。


(力が欲しい)


都合の良いことは解っている。

それでも紫闇は認められない。

自分もクリスもレックスも救う為に。


『“門は開かない“』


しかし紫闇の内から響く声は無情。


「だったらどうすんだよッ!」

『“(はや)るな。今のままで勝てる“』


紫闇に情報が伝わっていく。

現時点で使える力。

それでしていなかったことの。

人形をクリスに任せて距離を取ると彼は右腕を天に向けて【珀刹怖凍(びゃくせつふとう)】を発動。

外装に走る青いラインから蒼穹色をした強い輝きが放たれ周囲を照らす。


「悪足掻きを。また戻るだけですよ」


しかしレックスは焦る。


「【異能】が働かないッ!?」

「今さっき解った。珀刹怖凍は俺の『体感時間』をベースにして干渉してるんだ。その影響で俺からは他の奴が止まってるように見えるし現実時間との差分だけ高速移動が出来る。これが普段(・・)の珀刹怖凍らしい」


しかし今使ったものは違う。


「この辺りに在る空間。その時間を凍結した。擬似的な時間の停止だ。空間の時間自体は流れてるけど進みも戻りも出来ない。だから時間の逆行は出来なくなってる」


レックスは歯軋りした。

時間の逆行が使えない間にクリスはレックスの人形を破壊していく。


「レックスの任意じゃない自律モードでも思ったよりやるじゃない。レックスの思考をコピーしてるのかしら。お陰で良い運動になるけど」


王冠の人形が剣を振り下ろすもクリスはただの魔晄防壁で弾いてしまう。

ぐらついた相手にカウンター。

頭部が破壊された人形が倒れる。

後ろから迫る僧侶は手に持つメイスごと裏拳で豪快に薙ぎ払った。

馬頭の騎士が奔らせる双剣を掴み取りながら蹴り上げ股下からボディを引き裂いていく。

骸骨の人形は複数出せたようでクリスを取り囲むも、人形の中で一番脆かったのであっさりとバラバラにしてしまった。

大盾の鎧は【音隼(おとはや)】で突っ込みながら盾ごと後ろの人形本体に風穴を開ける。

最後は長い髪をした女剣士の人形。

レックスの母に似ているという彼女はレックスの思考にレックスが覚えている母の動きが混ざり合い相乗効果をもたらして見事に舞う。


「今までの人形と違うわね」


しかしやはり届かない。

今のクリスはもっともっと強いから。

クリスは二丁の銃を召喚。

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