第12節「昇る朝日が求めているのは」
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駆け寄るのだった。
ff
「反応……消失」
本部内の弦十郎達も、エアキャリアの消失を確認していた。
敵の撤退が確認され警戒態勢が解かれると、発令所の職員達が徐々に脱力し始めた。
下手を打てば本部が破壊されかねない戦いだったのだ。緊張するのも無理はなかっただろう。
「超常のステルス性能……ッ! 先刻の伏兵を、感知できなかったのもそのためか」
「そのようです。レーダーのデータレコードを確認しても、敵は唐突に出現し、そして消失しています……」
「これもまた、異端技術によるものか……?」
弦十郎は、今回の相手は現在の自分達だけで対処できない存在だと痛感する。
あちらには異端技術の専門家がいる。しかし、現在の二課にはそれが欠けているのだ。
とっくに退院できる所まで回復しているものの、先の一件で政府から警戒され、検査入院の名目で厳重な監視下に置かれてしまっている彼女。
その頭脳を今、特異災害対策機動部二課が必要としていた。
「そろそろ、了子くんを呼び戻さなければ……」
ff
エアキャリアの操縦室。
内部は最新鋭の輸送機と同等の設備が整っており、異端技術で改良されている分、そこらの軍用ヘリよりも高性能なこのヘリを操縦しているのは、ナスターシャ教授ただ一人。
そして各種計器類の一番上には、特殊ステルス機能『ウィザードリィステルス』の発生装置に接続された7つめのギアコンバーターが、射し込む陽光に照らされて赤く輝いていた。
(神獣鏡の機能解析の過程で手に入れた、ステルステクノロジー。私達のアドバンテージは大きくても、同時に儚く、脆い……)
「ごほっ……! ごほっ、ごほっ……!」
咳に口を押え、自らの掌に目をやるナスターシャ教授。
そこには赤黒く、吐き出された喀血が溜まっていた。
「急がねば……。儚く脆いものは他にもあるのだから……」
世界終末までのカウントダウンよりも先に迫る、自らの命のタイムリミット。
ナスターシャ教授は一人静かに、焦燥に煽られ始めていた。
一方その頃、貨物室内では……。
「ぐッ!?」
突き飛ばされたウェル博士が、背中から壁にぶつかり尻もちをついていた。
「下手打ちやがって! 連中にアジトを抑えられちまったじゃねぇか! オイオイドクター、俺達はこれから計画実行まで、何処に身を潜めろってんだ? まさか敵地の真っただ中で焚火炊いてキャンプでもしましょう、なんて言いだしたりしねぇよな?」
博士の胸倉を掴み上げるツェルト。コートを掴む手と反対側、硬い右手がギチギチと拳に握られる。
「そのくらいにしておきましょう。ドクターをいくら殴ったところで、何も変わら
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