第12節「昇る朝日が求めているのは」
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想させるのには充分であった。
フラッシュバックするのは、あの日のライブ。
この両腕の中で塵と消えた片翼が、最期に見せた一筋の涙。
(まさか……奏と同じ、LiNKERを……?)
その時、上空からの激しい風圧が吹き付け、翼は思わず手を翳した。
上空を見上げると、そこには紫色の光と共に浮かび上がるシルエット。
「く──ッ! ヘリッ!? どこから──ッ!?」
それは、両翼にそれぞれプロペラを持つ大型ヘリであった。
F.I.S.が保有する大型ヘリ、『エアキャリア』。姿を隠し続けていたそれが今、ようやく全容を現した。
「あなた達は、いったい何をッ!?」
「保管されていた生弓矢を奪い、姉さんのライブ会場を襲って……目的は何なんだッ!」
仲間に肩を貸しながら、響と翔は問いを投げかける。
ずっと疑問だったのだ。彼女達が何故、テロリストになったのかを。
その問いかけに調とツェルトは、逆行を背に答える。
「正義では、守れないものを、守る為に」
「世界を救い、大切な人を取り戻す……。ただ、それだけさ」
「──えッ……?」
「どういう……く──ッ!」
その意味を聞き返すより先に、エアキャリアからワイヤーが降下され、調と切歌は跳躍すると、ワイヤーの先に結ばれたグリップを握り上がっていく。
そしてツェルトは、アームドギアのワイヤーを貨物室のハッチに引っかけ、口元を少々引き攣らせながらウェル博士を抱えて昇っていった。
博士と装者を回収したエアキャリアは上昇を始め、この場から離れて行く。
「ぐッ……逃がすかよッ!」
「わわっ!?」
そこへクリスが、響の肩を振りほどいて前に出ると、アームドギアをスナイパーライフル型に変形させる。
頭部アーマーがカメラアイを伸ばした狙撃モードへと変わると、ネフシュタンの鎧に似たデザインのバイザーが下り、左目の部分にスコープが展開される。
〈RED HOT BLAZE〉
「ソロモンの杖を……返しやがれッ!」
位置はスコープのど真ん中。ターゲットロックの寸前。
紫色の光に包まれ、エアキャリアは空へと溶けるように消滅した。
「──はッ! なん、だと……ッ!?」
「ヘリが、消えた……ッ!?」
スコープからはあらゆるシグナルがロストしている。もう正確な位置も、距離も分からない。
いや、おそらく既に離脱済みだろう。
目の前で標的を逃し、ソロモンの杖をまたしても奪われた。
クリスはそこで糸が切れたように脱力し、ふらついた。
「ちく……しょう……ッ!」
「クリスちゃんッ!」
「すまねぇ……」
翔から離れ、慌ててクリスを支える純。
響と翔は数秒、水平線の向こうを見つめていたが、間もなく二人へと
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