第12節「昇る朝日が求めているのは」
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
舞い上がる爆煙。
翔は着地し、ツェルトの様子を窺う。
(やったか……? いや、煙の奥を確認するまで、楽観視は禁物がド定番! まだ隠し球があってもおかしくは──)
次の瞬間、煙の奥から飛び出してきたワイヤーが翔の腕に巻きついた。
「ッ!? このワイヤーはッ!?」
「フィィィィィィィィィッシュッ!」
腕に巻きついたワイヤーが伸縮し、翔は引っ張られてバランスを崩す。
そして翔は、釣られた魚のように振り回され、防波堤に背中から叩きつけられた。
「ごはッ!?」
「危ねぇ危ねぇ……。直撃の寸前に、聖遺物を切り替えておいたのさッ!」
煙の奥から姿を表すツェルト。
その周囲には、彼を包むように黒鉄の鎖が渦巻いていた。右腕からは、前回同様に黒地に金の紋様が入った楔付きのワイヤーが射出されている。どうやら、光刃を鎖の結界で防御していたらしい。
「だが、Model-GEEDの弱点を見抜いたのは、流石だと褒めといてやる。俺がギアとして鎧う事のできる聖遺物はこの『エンキドゥ』のみだ」
「エンキドゥ……。王の友、か……!?」
エンキドゥ。メソポタミア神話に登場する、神々に創られし英雄の名だ。
人類最古の英雄譚、ギルガメッシュ叙事詩に登場し、暴君ギルガメッシュを諌める為に遣わされるも、神々の意に反して彼の無二の友となり、最期は神の罰として土に還されたという逸話を持つ英雄。
その名を冠する聖遺物こそ、ツェルトの本来のRN式。神より遣わされし天の鎖。
「さて……俺に見合わない得物がお気に召さないってんなら、お望み通りにしてやるぜッ!」
「ッ!? うわああああああああッ!?」
ワイヤーで腕を縛られたまま、翔はグルグルと宙を回される。
左腕の刃でワイヤーの切断を試みた瞬間、ツェルトは翔に巻き付けていたワイヤーを外した。
「くッ!? ぐううううッ!?」
翔は何とか空中で体制を整え着地するも、目を回してふらつき、尻餅を着いた。
「ウェーブスインガーの乗り心地は如何だったかな? リバースしそうなら、エチケット袋くらい貸してやるぜ?」
「こい、つ……減らず口、を……」
ふらつきながらも立ち上がり、ツェルトを睨む翔。
だが、苦戦を強いられているのは翔だけではなかった。
「信じ合って 繋がる真の強さを──」
「がは──ッ!?」
バットのように振られた鎌の柄が、クリスの腹部に容赦なく叩き込まれる。
怯んで頭が下がった隙に、柄本で殴られたクリスは地面を転がる。
奪取したソロモンの杖もまた、彼女の手元を離れてしまった。
「クリスちゃんッ!」
響がクリスに駆け寄り、調はローラーで地面を滑りながらソロモンの杖を回収に向かう。
「くッ……させないッ!
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ